だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

51.俺はあいつ等と出会った。

 物心ついた時から、俺達は子供だけで生きていた。一応親はいたが、衰弱で俺が小せぇ時に死んだんだ。
 だから俺達はお互いに支え合って生きて来た。……そりゃあ、街の大人達の手助けもあっての事だが。
 始まりは……俺と、ラークの二人だけだった。それぞれ親が死んでたりろくでもなかったりして……それで俺達は、秘密基地を作って日々をそこで過ごしていた。
 まぁ、秘密基地とは名ばかりのただの俺の家だが、当時七歳程だった俺達からすればまさに秘密基地だったのだ。
 この街に俺達のような子供は少なくなかった。いつしか俺達の秘密基地には他の子供も集まるようになっていた。
 最初に来たのは一つ歳下のシャルルギルだった。ある日突然ラークが連れて来たのだが、シャルルギルはとんでもない天然で、発言の一つ一つが面白くて俺達は毎度腹を抱えて笑っていた。
 シャルルギルもそうやってあっという間に馴染み、俺達は三人になった。

 次に誰かがやって来たのはその半年後。バドールとエリニティだった。
 俺達より二つ歳下だったバドールが、雨の日に更に歳下のまだ小さいエリニティを抱えたまま現れたのだ。
 エリニティはバドールの隣の家の子供で……親が働きに出てる時に風邪を引いてしまったようで、どうしたらいいか分からず、いつか聞いた俺達の噂を頼りに来たらしい。
 ……俺達の噂と言うのは、シャルルギルが来て以降シャルルギルの魔力を使ってやっていたお手伝いの事だろう。
 シャルルギルは珍しい毒の魔力を持っていて、それを上手く使えば悪くなった食べ物を少し良くする事が出来たのだ。
 シャルルギル曰く、食べ物の中の『毒』を外に出してるだけ……らしいが、俺達には全く分からなかった。
 ただこうすれば食べ物が美味しくなったのだ。
 それに、シャルルギルがいると帝都郊外の森に行った時、食べちゃ駄目な草や木の実が分かって便利だった。
 これをたまに近所の家でもやっていたのだ。お代は食べ物で。
 その力があれば、エリニティの風邪も治せると当時六歳のバドールは考えたらしいのだが……それは不可能だった。
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