だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……お前がいいのなら、オレも構わんが」

 マクベスタの了承を得て私とエンヴィーさんはハイタッチをして喜んだ。
 そして少しだけ道を外れ、私達は通りの店を見て回った。花屋に服屋に装飾品店に飲食店……次々に色んな店に入っては三人で満喫していた。

「なんでそんなに花に詳しいの?」
「……うちの城の近くに色んな花が咲く草原があってな、昔から母や兄と共に行っては色々と教え込まれていたんだ」

 と柔らかい表情で語るマクベスタが花屋で次々に花の解説をしてくれた。

「やっぱり、マクベスタはこの色が…いやでもこっちの大人しめなのも……」
「……師匠、オレの服は別にいらないんだが」
「エンヴィーさんはもしかしてお洒落さんなのかな」
「違うんすよ姫さん。人には合った色があるんだから、その人に合った色の服を着てないとめっちゃ怒る知り合いがいて……その所為で服を選ぶってなると妙に気合いが入るんです。適当にやってあいつに怒鳴られるかもと思うと……」

 と真剣な面持ちで様々な服を見比べるエンヴィーさんが紳士向けの服屋でマクベスタに服を選んで、知り合いとやらの話をして遠い目になった。

「アミ……スミレ、これとかお前に似合いそうだ」
「姫さんなら正直何でも似合うんだが、やっぱり寒色系がいいな……」
「二人共楽しそうだね」

 と装飾品店で次々にアクセサリーを手に取って見せてくる二人に、私はため息をついていた。

「ん〜っ、このお肉美味しい……!」
「口の中で広がる旨味がかなりの満足感を与えてくれるな……」
「ハハ、二人が楽しそうで何よりだ」

 と貴族御用達らしい飲食店で美味しい肉料理を堪能する私達を、エンヴィーさんが暖かく見守る。
 私達は店イチオシの肉料理を頼んだが、エンヴィーさんは何も注文しなかった。

「俺達にとって食事ってのは娯楽なんですよ。何せ俺達は魔力さえあれば生きていけるんでね。まぁ、中にはシルフさんみたいに好んで食事を取ったりする奴もいるんすけど」

 だから俺はいらないんすよ、とエンヴィーさんは語った。それに私達はなるほどと納得していた。
 シルフが食事を好むのはこの前の紅茶の件で知っている。だがそれはシルフだからであり、精霊さんが誰しもそうである訳では無いらしい。
 私が会った事のある精霊さんはシルフとエンヴィーさんだけだけど……いつかもっと色んな精霊さんに会えたらいいな。
 食事を終えた私達はようやく伯爵邸に向かう事になった。その道中でメイシアの話題になった。
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