だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「まず〜、あー……あれから話すか。人間は知らないみたいだけど、人間には目に見えない魔力炉って言う魔力と生命力を作る機構、第二の心臓みたいなのがあるんすよ。そこで大気中から取り込んだ魔力の元となる魔力原子が魔力と生命力に変換される。人間で言う所の魔力量ってのは俺達が変換効率って言ってるやつの事なんです」
その話は、今までゲームでもこの世界の本でも一度も聞いた事が無かった話だった。
それをこのゲームを愛したオタクであり、同時にこの世界に生きる私が前のめりで聞いたのは……当然の事だった。
「魔力炉がどれだけ機能するかは人それぞれで、魔力炉の機能が活発な人程、人間で言う所の魔力量が多く健康的な傾向に。逆に魔力炉の機能が不活発な人程、魔力量が少なく体が弱かったりするんすよ」
師匠が話すそれを、私達は唖然としながら聞く。
「でも魔力量が多いそれ即ち健康って結びついている訳ではなくて……魔力炉が活発故に、魔力暴走や魔力侵害を起こして死んだりする人間もいまして。で、そこのお嬢さんも恐らく前者に近い事が起きたかと」
聞いた事の無い話に耳を傾けていたら、突然、師匠がメイシアを指さしたのだ。
さっきからずっと俯いているメイシアが、またビクリと反応する。私に出来る事は、震えるメイシアを抱き締めてあげる事だけだった。
「多分産まれた時っすね……お嬢さんが産まれた瞬間、お嬢さんの魔力が膨大過ぎて周囲に溢れ出たんだと思います。幸いだったのは火の魔力は魔力が溢れただけでは何も起きない事……まぁ、突然、生産されたばかりの濃くて高熱の魔力に当てられて周りの人間が無事だったかは知りませんけど」
師匠は淡々と、平然と語り続ける……私達の様子など気にする素振りも無く。
「ただ不幸な事にお嬢さんは延焼の魔眼を持ってる。あれは延焼なんて名前ですけど、実際の所火種の力しか無い魔眼です。だけどお嬢さんの場合はその火種……火の魔力が充満した場所で放たれ、最悪の結果を招いた…とかだと思います」
ま、あくまでもこれは全部俺の憶測でしかありませんが。と師匠は言った。
延焼の魔眼はただの火種に過ぎず、その火種が着火出来るものは魔力……最もその火種の効果を強める魔力の属性は──火。だからこそ、火の魔力を持つ人間に延焼の魔眼が与えられる……いつでもどこでも、天災に等しい大火災を起こせてしまうから。
なんて胸糞悪い話なんだ。どうしてそんな魔眼があるの! と私は師匠を睨んだ。師匠がさっき、その魔眼も俺のものだったと言っていたからだ。
私の視線に気づいた師匠は意味ありげに眉尻を下げて、微笑んだ。
「…………延焼の魔眼に限らず、魔眼は本来精霊のものじゃないんです。魔眼には二種類あって、魔王の悪ふざけで人間に与えられた魔眼と、妖精女王の暇潰しで人間に与えられた魔眼の二種類。あの二種族が与えた力なのに、途中で管理が面倒だとかで精霊王に丸投げしたんすよ」
「……それってつまり、魔族と妖精が、精霊に責任を押し付けたって事?」
私の疑問に呆れ顔の師匠は軽く頷き、続けた。
その話は、今までゲームでもこの世界の本でも一度も聞いた事が無かった話だった。
それをこのゲームを愛したオタクであり、同時にこの世界に生きる私が前のめりで聞いたのは……当然の事だった。
「魔力炉がどれだけ機能するかは人それぞれで、魔力炉の機能が活発な人程、人間で言う所の魔力量が多く健康的な傾向に。逆に魔力炉の機能が不活発な人程、魔力量が少なく体が弱かったりするんすよ」
師匠が話すそれを、私達は唖然としながら聞く。
「でも魔力量が多いそれ即ち健康って結びついている訳ではなくて……魔力炉が活発故に、魔力暴走や魔力侵害を起こして死んだりする人間もいまして。で、そこのお嬢さんも恐らく前者に近い事が起きたかと」
聞いた事の無い話に耳を傾けていたら、突然、師匠がメイシアを指さしたのだ。
さっきからずっと俯いているメイシアが、またビクリと反応する。私に出来る事は、震えるメイシアを抱き締めてあげる事だけだった。
「多分産まれた時っすね……お嬢さんが産まれた瞬間、お嬢さんの魔力が膨大過ぎて周囲に溢れ出たんだと思います。幸いだったのは火の魔力は魔力が溢れただけでは何も起きない事……まぁ、突然、生産されたばかりの濃くて高熱の魔力に当てられて周りの人間が無事だったかは知りませんけど」
師匠は淡々と、平然と語り続ける……私達の様子など気にする素振りも無く。
「ただ不幸な事にお嬢さんは延焼の魔眼を持ってる。あれは延焼なんて名前ですけど、実際の所火種の力しか無い魔眼です。だけどお嬢さんの場合はその火種……火の魔力が充満した場所で放たれ、最悪の結果を招いた…とかだと思います」
ま、あくまでもこれは全部俺の憶測でしかありませんが。と師匠は言った。
延焼の魔眼はただの火種に過ぎず、その火種が着火出来るものは魔力……最もその火種の効果を強める魔力の属性は──火。だからこそ、火の魔力を持つ人間に延焼の魔眼が与えられる……いつでもどこでも、天災に等しい大火災を起こせてしまうから。
なんて胸糞悪い話なんだ。どうしてそんな魔眼があるの! と私は師匠を睨んだ。師匠がさっき、その魔眼も俺のものだったと言っていたからだ。
私の視線に気づいた師匠は意味ありげに眉尻を下げて、微笑んだ。
「…………延焼の魔眼に限らず、魔眼は本来精霊のものじゃないんです。魔眼には二種類あって、魔王の悪ふざけで人間に与えられた魔眼と、妖精女王の暇潰しで人間に与えられた魔眼の二種類。あの二種族が与えた力なのに、途中で管理が面倒だとかで精霊王に丸投げしたんすよ」
「……それってつまり、魔族と妖精が、精霊に責任を押し付けたって事?」
私の疑問に呆れ顔の師匠は軽く頷き、続けた。