だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「ねぇ師匠、何か方法は無いの? その魔力炉……を直せる精霊さんとかいないの?」
「魔力炉を直せる精霊っすか? いるにはいるんすけど……連れて来るのはシルフさんぐらいじゃないと無理なんすよね……多分」
「そんな……」
私もまた打つ手なしと落ち込み俯いてしまう。
師匠の時のように、シルフが連れて来てくれない限り魔力炉を直せる精霊さんはこちらに来てくれないらしい。でも今この場にシルフはおらず、それを頼む事も出来ない。
だけど伯爵夫人を目覚めさせるにはその精霊さんの力が必要で……。
……待って、精霊の力が必要って……何処かで聞いたと言うか考えたと言うか──。
「──精霊召喚、すればいいんだ」
私は思いついたままに呟いた。
すると、それに師匠が強く反応する。
「え、いやいやいや、待ってください姫さん! いくらなんでもアイツを呼ぶとか無理ですって!! だってアイツは──」
「でもこれしかその精霊を呼び出す方法が無いんだから仕方ないじゃない! だからお願い師匠、精霊召喚の方法を教えて!」
「──ってもうやる気じゃん! そもそも精霊召喚ってのは代償が……っ」
考えを曲げるつもりはないと、私は目で訴えかける。師匠は私の真剣な目を見て言葉を詰まらせた。
精霊召喚が難しい事だとは分かっている。でもそれしか今は方法が無いのなら……私は私のたった一人の女友達の為に全力を賭したい。
「〜〜ぁあああっ! もう! 分かりましたよ協力しますから!! その代わり、シルフさんに怒られる時は姫さんも一緒に怒られてくださいよ?」
「勿論よ!」
師匠は何度もガシガシと頭をぐしゃぐしゃにしては、吹っ切れたようにこちらを指さして大声で言った。
望むところよ、なんでシルフに怒られるのかは分からないけれど……後でいくらでもシルフに怒られようじゃないか!
それでメイシアの為に何かが出来るのなら安いもんよ!
「あぁもうほんっとになんでこんな変に頑固なんだよ……マジでこれぜってぇ後で怒られる……ハァ……つぅかどうやってアイツ呼べばいいんだこれ…………」
ぶつぶつと独り言を呟きながら、師匠は足元に魔法陣を描き始めた。まるで導火線のように一瞬線状に火が燃えては床に焦げ跡を残してゆく。
それらは次第に形を成し、ついには召喚陣へと変貌した。
「姫さん、こっち来てください」
師匠が手を出して来たので、それを取り私は召喚陣の上に立つ。
ふと後ろを振り向くとそこには心配そうな顔のメイシアがいた。私は彼女に「ちょっと待っててね、メイシア」と笑いかけ、師匠にこの後どうするのかを尋ねた。
「どうやったら精霊召喚は出来るの?」
「『星の子らよ、やがて星となる子らよ、我が呼び声に応えたまえ。是なるは汝らを求めし詠──精霊召喚』ってこの召喚陣の上で言えばいけますね。ああでも……今回は一番最後にリバースって言ってください」
分かった、と私は頷く。それじゃあ早速…と思ったものの、説明を終えても尚師匠は私の手を握っており、召喚陣から離れようとしない。
「……師匠は一体何を?」
「精霊召喚ってのは魔力を大量に使うモンなんすよ、なので今回は俺も手伝う事にしました。それに、こーゆー召喚と名の付くものは縁あるもの──触媒があった方が成功しやすくなるんで」
「それはもうご助力ありがとうございます……」
「どーいたしまして」
どこか不機嫌な師匠はとりあえず置いといて、私はついに精霊召喚に挑む事となった。
一度深呼吸をしてから、私は精霊召喚の文言を口にする。
「── 星の子らよ、やがて星となる子らよ、我が呼び声に応えたまえ。是なるは汝らを求めし詠──……精霊召喚、リバース!」
私の言葉に呼応するかのように召喚陣が輝き出し、やがてそれは光の柱となった。あまりの眩さに目をぎゅっと瞑る。
そして、光が収まりゆっくりと瞼を開くと、そこには……。
「魔力炉を直せる精霊っすか? いるにはいるんすけど……連れて来るのはシルフさんぐらいじゃないと無理なんすよね……多分」
「そんな……」
私もまた打つ手なしと落ち込み俯いてしまう。
師匠の時のように、シルフが連れて来てくれない限り魔力炉を直せる精霊さんはこちらに来てくれないらしい。でも今この場にシルフはおらず、それを頼む事も出来ない。
だけど伯爵夫人を目覚めさせるにはその精霊さんの力が必要で……。
……待って、精霊の力が必要って……何処かで聞いたと言うか考えたと言うか──。
「──精霊召喚、すればいいんだ」
私は思いついたままに呟いた。
すると、それに師匠が強く反応する。
「え、いやいやいや、待ってください姫さん! いくらなんでもアイツを呼ぶとか無理ですって!! だってアイツは──」
「でもこれしかその精霊を呼び出す方法が無いんだから仕方ないじゃない! だからお願い師匠、精霊召喚の方法を教えて!」
「──ってもうやる気じゃん! そもそも精霊召喚ってのは代償が……っ」
考えを曲げるつもりはないと、私は目で訴えかける。師匠は私の真剣な目を見て言葉を詰まらせた。
精霊召喚が難しい事だとは分かっている。でもそれしか今は方法が無いのなら……私は私のたった一人の女友達の為に全力を賭したい。
「〜〜ぁあああっ! もう! 分かりましたよ協力しますから!! その代わり、シルフさんに怒られる時は姫さんも一緒に怒られてくださいよ?」
「勿論よ!」
師匠は何度もガシガシと頭をぐしゃぐしゃにしては、吹っ切れたようにこちらを指さして大声で言った。
望むところよ、なんでシルフに怒られるのかは分からないけれど……後でいくらでもシルフに怒られようじゃないか!
それでメイシアの為に何かが出来るのなら安いもんよ!
「あぁもうほんっとになんでこんな変に頑固なんだよ……マジでこれぜってぇ後で怒られる……ハァ……つぅかどうやってアイツ呼べばいいんだこれ…………」
ぶつぶつと独り言を呟きながら、師匠は足元に魔法陣を描き始めた。まるで導火線のように一瞬線状に火が燃えては床に焦げ跡を残してゆく。
それらは次第に形を成し、ついには召喚陣へと変貌した。
「姫さん、こっち来てください」
師匠が手を出して来たので、それを取り私は召喚陣の上に立つ。
ふと後ろを振り向くとそこには心配そうな顔のメイシアがいた。私は彼女に「ちょっと待っててね、メイシア」と笑いかけ、師匠にこの後どうするのかを尋ねた。
「どうやったら精霊召喚は出来るの?」
「『星の子らよ、やがて星となる子らよ、我が呼び声に応えたまえ。是なるは汝らを求めし詠──精霊召喚』ってこの召喚陣の上で言えばいけますね。ああでも……今回は一番最後にリバースって言ってください」
分かった、と私は頷く。それじゃあ早速…と思ったものの、説明を終えても尚師匠は私の手を握っており、召喚陣から離れようとしない。
「……師匠は一体何を?」
「精霊召喚ってのは魔力を大量に使うモンなんすよ、なので今回は俺も手伝う事にしました。それに、こーゆー召喚と名の付くものは縁あるもの──触媒があった方が成功しやすくなるんで」
「それはもうご助力ありがとうございます……」
「どーいたしまして」
どこか不機嫌な師匠はとりあえず置いといて、私はついに精霊召喚に挑む事となった。
一度深呼吸をしてから、私は精霊召喚の文言を口にする。
「── 星の子らよ、やがて星となる子らよ、我が呼び声に応えたまえ。是なるは汝らを求めし詠──……精霊召喚、リバース!」
私の言葉に呼応するかのように召喚陣が輝き出し、やがてそれは光の柱となった。あまりの眩さに目をぎゅっと瞑る。
そして、光が収まりゆっくりと瞼を開くと、そこには……。