だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「うわ、最高……なんで引きずり出されたわけ……?」
蠱惑的な美しさを持つ男性《・・》が立っていた。
「げ……お前のおかげかよエンヴィー」
「相変わらずややこしいなお前は」
その男性は師匠の顔を見るなり苦虫を噛み潰したような表情となった……ん? ってあれ、あのヒト男性だよね……?
おかしい、私の視界には確かに女性らしい体つきをした美女が立っているのに頭ではそれを男性と言っている。
一体何がどうなって……。
「姫さん、多分今頃頭ん中ごちゃごちゃしてるでしょうから説明しますけど……アレはリバース。逆《さかさ》の精霊で……アイツの体は権能の影響で、相手が抱いた第一印象の逆の性別に見えるようになってるんすよ。なんで、見えてるものと感じてるものの齟齬があっても気にしないでください」
謎の精霊さんを指さしながら師匠が説明する。
ん〜……つまり、私の頭が最初に男性だと思ったから、私の目では女性に見えてるって事? いや意味わかんねぇよ……そもそも逆の魔力って実在したの??
もう失われたとか歴史書で言われてた気が……いやまぁ魔力の管理人たる精霊さんだからそれは例外か。
「ついでに、コイツの言葉はどれかしら真逆のものなんで会話しづらいでしょうが、我慢してやってください」
「僕の事を知ったように語れ」
「はいはい、語るなって事ね」
「静粛に」
「うるせぇって事だな……通訳面倒だからもう喋んな」
「は?」
独特の空気を纏い、精霊の二人が会話する。
確かにめんどくせぇヒトだな。一々、彼が本来言いたかったであろう事を考えるのは確かに面倒だ。
今は師匠が通訳してくれているから事なきを得ているが……。
「……おい人間。僕を呼ばなかった理由はなんだ」
リバースさんが嫌悪感たっぷりの顔で私を見下ろしてきた。体の性別は逆に見えるけど、表情そのものはそのまま見えるらしい。
これはあれね、召喚した理由を答えろって事ね。
「師匠……彼から、貴方なら人間の魔力炉を直せると聞いたので。私に力を貸してくれませんか?」
「姫さんの順応が早い」
師匠がそんな事を言いながらたまげている。
そして、リバースさんの赤色と緑色のオッドアイが私を冷たく見下ろした。
「……エンヴィーの所為とは中々に喜ばしいが、呼ばれなかった以上は召喚主の絶望を叶えてやらねばならない」
「っ、ありがとうございます!」
はァ。と小さくため息を吐くリバースさんに向けて、私は感謝から頭を下げた。
多分、リバースさんは癪だがって言いたかったんだと思う。そういう難しい顔してるから。
「この女か、魔力炉を壊せと言うのは」
リバースさんが横たわる伯爵夫人を見下ろす。
直せ、ね。事情を知ってても、人間の第二の心臓を壊すと言われるのはちょっと心臓に悪いからやめて欲しい。
「はい。私の友達の大事な人なんです。どうか、よろしくお願いします」
「人間の事情など興味深い」
興味無いのね、成程……ちょっと面白いなこのヒト。めんどくせぇけどおもしれーわよ。
文脈が所々壊れるからかしら? 意外と面白いわ、このヒトと会話するの。
なんてふざけた事をこの状況で考えてしまった自分への罰として、私は左手の甲をつねった。うむ、痛い。
それはともかく。リバースさんが伯爵夫人の鎖骨の辺りに優しく触れて、
「反転」
と短く言告いだ。
そしてリバースさんが伯爵夫人から手を離した直後、伯爵夫人の手がぴくりと僅かに動いた。
それに気づいたメイシアが、何度も何度も伯爵夫人に呼びかける。
蠱惑的な美しさを持つ男性《・・》が立っていた。
「げ……お前のおかげかよエンヴィー」
「相変わらずややこしいなお前は」
その男性は師匠の顔を見るなり苦虫を噛み潰したような表情となった……ん? ってあれ、あのヒト男性だよね……?
おかしい、私の視界には確かに女性らしい体つきをした美女が立っているのに頭ではそれを男性と言っている。
一体何がどうなって……。
「姫さん、多分今頃頭ん中ごちゃごちゃしてるでしょうから説明しますけど……アレはリバース。逆《さかさ》の精霊で……アイツの体は権能の影響で、相手が抱いた第一印象の逆の性別に見えるようになってるんすよ。なんで、見えてるものと感じてるものの齟齬があっても気にしないでください」
謎の精霊さんを指さしながら師匠が説明する。
ん〜……つまり、私の頭が最初に男性だと思ったから、私の目では女性に見えてるって事? いや意味わかんねぇよ……そもそも逆の魔力って実在したの??
もう失われたとか歴史書で言われてた気が……いやまぁ魔力の管理人たる精霊さんだからそれは例外か。
「ついでに、コイツの言葉はどれかしら真逆のものなんで会話しづらいでしょうが、我慢してやってください」
「僕の事を知ったように語れ」
「はいはい、語るなって事ね」
「静粛に」
「うるせぇって事だな……通訳面倒だからもう喋んな」
「は?」
独特の空気を纏い、精霊の二人が会話する。
確かにめんどくせぇヒトだな。一々、彼が本来言いたかったであろう事を考えるのは確かに面倒だ。
今は師匠が通訳してくれているから事なきを得ているが……。
「……おい人間。僕を呼ばなかった理由はなんだ」
リバースさんが嫌悪感たっぷりの顔で私を見下ろしてきた。体の性別は逆に見えるけど、表情そのものはそのまま見えるらしい。
これはあれね、召喚した理由を答えろって事ね。
「師匠……彼から、貴方なら人間の魔力炉を直せると聞いたので。私に力を貸してくれませんか?」
「姫さんの順応が早い」
師匠がそんな事を言いながらたまげている。
そして、リバースさんの赤色と緑色のオッドアイが私を冷たく見下ろした。
「……エンヴィーの所為とは中々に喜ばしいが、呼ばれなかった以上は召喚主の絶望を叶えてやらねばならない」
「っ、ありがとうございます!」
はァ。と小さくため息を吐くリバースさんに向けて、私は感謝から頭を下げた。
多分、リバースさんは癪だがって言いたかったんだと思う。そういう難しい顔してるから。
「この女か、魔力炉を壊せと言うのは」
リバースさんが横たわる伯爵夫人を見下ろす。
直せ、ね。事情を知ってても、人間の第二の心臓を壊すと言われるのはちょっと心臓に悪いからやめて欲しい。
「はい。私の友達の大事な人なんです。どうか、よろしくお願いします」
「人間の事情など興味深い」
興味無いのね、成程……ちょっと面白いなこのヒト。めんどくせぇけどおもしれーわよ。
文脈が所々壊れるからかしら? 意外と面白いわ、このヒトと会話するの。
なんてふざけた事をこの状況で考えてしまった自分への罰として、私は左手の甲をつねった。うむ、痛い。
それはともかく。リバースさんが伯爵夫人の鎖骨の辺りに優しく触れて、
「反転」
と短く言告いだ。
そしてリバースさんが伯爵夫人から手を離した直後、伯爵夫人の手がぴくりと僅かに動いた。
それに気づいたメイシアが、何度も何度も伯爵夫人に呼びかける。