だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「病気を治すんだったらあの眼帯の人の所の目が悪い人にも頼むべきだと思うよぉー」
「……シャルに? なんで?」
「だってあの人毒の魔力持ちでしょぉ? 病を相殺出来るのは病だけって昔から相場が決まってるじゃーん」

 シュヴァルツの言っている意味が分からず……私とマクベスタは顔を見合わせ、

(どゆこと?)
(分からん)

 と首を傾げたり首を横に振ったりしていた。
 確かにシャルは毒の魔力を持っているようなのだが、それが何故病を相殺するなんて話に繋がるのか……全く分からない。
 うーんと顎に手を当てて悩む私達を見て、シュヴァルツが不服そうに頬を丸く膨らませて続けた。

「人間の定義では病と毒は相違ないものでしょう? どちらも人体を害するもの、どちらも生命を枯らすもの……だからね、毒の魔力は病も消せちゃうの。病の魔力でも毒を消せちゃうようにね!」

 シュヴァルツの話を、私達は唖然としながら聞いていた。まさに寝耳に水……なんだそのめちゃくちゃな話は。
 何でそんな事をシュヴァルツが知っているのかはとりあえず置いといて、私はそれを聞いて一つ、頭に電撃が走るように気づいた事があったのだ。

「……つまり、人間の体にとっては病は『毒』だから……毒の魔力で病を治せるって事?」
「そうそう! 流石だよおねぇちゃんっ、ぼくが言いたかったのはそれー!」

 シュヴァルツが満足そうに無邪気な笑顔を咲かせる。
 しかし私の頭の中は未だに混乱していた。何なんだその主観に拠る魔法の使い方は……私が言えた限りでは無いかもしれないが。
 確かに人体にとって病とは毒のようなもの。だからって病を毒の魔力で消せるとかありなんですかそれ……? 毒の魔力最強じゃねそれ……?
 人間とはこの世界にとって毒だ! とか決めつけたら人間も消せるって事?? え、本当のチートですか??
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