だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「何をもってして毒と決めるかはその人次第だけどぉ、毒の魔力が干渉出来る他の魔力は今の所……えーっと、病と腐だけだったと思うからそれ以外の魔力の分野の事は出来ないと思うよぉ〜」

 まるで私の疑問に答えるかのようにシュヴァルツが話す。
 ニコニコヘラヘラとしながら彼が話すそれは、この世界の魔法研究ではまだ辿り着いていない境地のものだった。
 前々から変な子とは思っていたけれど、今日になってそれが一気に加速した。

(シュヴァルツって何者なの!?)
(いやお前が連れて来た子供だろう)
(私だって何も知らないんですけど)
(何で何も知らない子供を連れて来たんだ…?)

 もう一度マクベスタの方を見て、私達はそうやって目で会話していた。勿論これで合ってる保証は無い。何となくの感じだ。
 しかし……思わずこんな事をしてしまう程、シュヴァルツと言う少年の知識や言動の不可解さが凄まじいのだ。

「……魔法に随分詳しいね、シュヴァルツ」
「本当っ? えへへ、魔法の事はたっくさん研究してたからねー!」

 あまりにも気になって仕方なかったので、そう声をかけてみた所……シュヴァルツからは目が浄化されそうな程に眩しい笑顔が帰ってきた。
 ご両親が研究者とかだったのかしら。親の影響で特定の分野に詳しくなるなんて言う話はよく聞くし。ひとまずこれで辻褄は合う筈だ。
 でも……だとしたら何故シュヴァルツのご両親は研究成果の発表とかをしなかったのか、その疑問が残る。
 ただ、この事に言及しても何となくではあるがはぐらかされる気がしてしまうのだ。シュヴァルツは妙に自分の事を話したがらないから。
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