だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「一つ目は、今日から暫くの間皇宮を空けるのでその事についてご了承ください。二つ目は、もし万が一皇帝陛下が私の行動に対して制裁を加えようとお考えになられても、全てが終わるまでは待っていただけるよう……皇帝陛下を説得してください。三つ目は、もし私に死刑が下された場合、私自らの手で自決出来るよう便宜を図ってください。これが、私から卿への三つの頼み事でございます」
私はこれから勝手にフォーロイト帝国の名を使う。地位も権力もハリボテの私が、だ。
それが皇帝の逆鱗に触れる事は間違いないだろう。それによって死刑となる可能性も十分ある。
なので、こうして前もって予防線を張っておきたかったのだ。
「…………分かりました。その頼み、可能な限り聞き届けましょう」
ケイリオルさんが胸元に手を当てて軽く一礼する。
快諾して貰えた事だし、「では私はもう行きますわ」とケイリオルさんに向けてお辞儀して、マクベスタと共にすぐさま皇宮へと戻った。
許可が取れたならばもうこんな城にいる必要は無い。しかし先の事を考えると……走って戻るような真似は出来ない。私は、皇族としての品位を損ねない程度に早歩きで皇宮へと向かった。
皇宮の私室に着くとそこには、ある程度手配を終えて戻って来たハイラさんとシュヴァルツがいて、なんとシュヴァルツからハイラさんにある程度の説明をしておいてくれたらしいのだ。お陰様でハイラさんに説明をする手間が省けた。
善は急げと、軽く荷物を纏めようと準備する。マクベスタもまた、自身に宛てがわれている客室へと荷物を取りに行った。
そんな時、ハイラさんが様々な言葉を口の中に蓄えたような面持ちで声をかけてきた。
「姫様」
「なあに?」
「……本当に行かれるのですね」
「……えぇ、行くわ」
少し手を止めて、ハイラさんの方を振り返る。
絶対にこの決定は覆さない、そんな思いを込めた瞳で彼女を見つめる。
「──ハイラ、これは命令よ。貴女はここに残りなさい」
「ッ?!」
初めて見たハイラさんの顔。驚き、戸惑い、焦る…そんな複雑な表情。
きっと彼女も着いてくるつもりだったのだろう。だけど私はそれを許さない……命令だなんて、今まで一度も言った事の無いような言葉まで使って。
「な、何故…ですか……姫様」
ハイラさんの表情はやがて捨てられた子供のような、見てるこっちの心が締め付けられるものへと変貌した。
ハイラさんにはやって貰う事がある。だからここに残って貰わねばならないのだ。
私はこれから勝手にフォーロイト帝国の名を使う。地位も権力もハリボテの私が、だ。
それが皇帝の逆鱗に触れる事は間違いないだろう。それによって死刑となる可能性も十分ある。
なので、こうして前もって予防線を張っておきたかったのだ。
「…………分かりました。その頼み、可能な限り聞き届けましょう」
ケイリオルさんが胸元に手を当てて軽く一礼する。
快諾して貰えた事だし、「では私はもう行きますわ」とケイリオルさんに向けてお辞儀して、マクベスタと共にすぐさま皇宮へと戻った。
許可が取れたならばもうこんな城にいる必要は無い。しかし先の事を考えると……走って戻るような真似は出来ない。私は、皇族としての品位を損ねない程度に早歩きで皇宮へと向かった。
皇宮の私室に着くとそこには、ある程度手配を終えて戻って来たハイラさんとシュヴァルツがいて、なんとシュヴァルツからハイラさんにある程度の説明をしておいてくれたらしいのだ。お陰様でハイラさんに説明をする手間が省けた。
善は急げと、軽く荷物を纏めようと準備する。マクベスタもまた、自身に宛てがわれている客室へと荷物を取りに行った。
そんな時、ハイラさんが様々な言葉を口の中に蓄えたような面持ちで声をかけてきた。
「姫様」
「なあに?」
「……本当に行かれるのですね」
「……えぇ、行くわ」
少し手を止めて、ハイラさんの方を振り返る。
絶対にこの決定は覆さない、そんな思いを込めた瞳で彼女を見つめる。
「──ハイラ、これは命令よ。貴女はここに残りなさい」
「ッ?!」
初めて見たハイラさんの顔。驚き、戸惑い、焦る…そんな複雑な表情。
きっと彼女も着いてくるつもりだったのだろう。だけど私はそれを許さない……命令だなんて、今まで一度も言った事の無いような言葉まで使って。
「な、何故…ですか……姫様」
ハイラさんの表情はやがて捨てられた子供のような、見てるこっちの心が締め付けられるものへと変貌した。
ハイラさんにはやって貰う事がある。だからここに残って貰わねばならないのだ。