だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……彼女とは何処でお会いしましたか? それと、どのような様子でしたか?」

 あぁ、その事か。
 ケイリオル卿の疑問に納得した僕は、あの庭園の前で出会った事、今朝方まで熱でうなされていたようには見えなかった事、僕へと明確な敵意を向けて来た事を包み隠さず話した。

「まるで人格が一変したようだった……ですか。また随分と不可思議な事が起きていたようですね」

 ケイリオル卿は顎に手を当てて、僕の報告を興味深そうに聞いていた。そして、お教えくださりありがとうございますと言って、

「彼女の件は今後も私の方で調査を続けておきますので、フリードル殿下はお気になさらず。建国祭で今日はお疲れでしょう……明日もご予定があるのですから、もう今晩はお休みくださいませ」

 ケイリオル卿は深く一礼した。
 あの彼が調べると言ったのだから、そう遠くない内に謎は解ける事だろう。ならばもう僕は妹の事など考える必要は無い。時間の無駄だ。
 先程父上が言った通り、妹はただの道具でしかない。必要であれば使い、不要であればいつでも棄てられる道具。
 何故、道具の事を気にかける必要があるんだ……あぁ、やはり僕は今日、疲れていたのだ。最近更に授業や訓練が厳しくなっていたからだろう。
 そして。ケイリオル卿の言葉に甘え、僕はまた、早々に眠りについた。

 僕は愛も恋も絆も要らない。僕に必要なのは皇帝としてこの国を統治する力だけ。
 家族や血縁は高貴なる血統を証明する為だけのもの。
 兄妹とか、親子とか、僕には無縁のもの。
 別に要らない。どれも興味無い。
 そうだ、そうなのだ。

 ──妹の存在なんて、僕にとっては興味も無ければ不必要なものだ。
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