だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
♢♢
「──そろそろか」
後継者問題の中心、ハミルディーヒ王国が王城の一室。
鮮やかな朱色の髪を持つ少年は遠くの空を見上げ、覚悟を決めていた。
そんな少年の後ろに立つ長身の男が、不安げな面持ちで最後の確認を取る。
「──本当に宜しいのですね、カイル様」
カイルと呼ばれた少年は振り向いて、ニヒルな笑みを浮かべた。
「あぁ。俺は──継承権を棄てる。加護属性《ギフト》所持者を囲えないこの国が帝国に勝つ可能性はゼロに近い……俺は負け戦になんて、送られたくないからな」
彼の言葉に長身の男はやるせない気持ちとなる。しかしそんな気持ちを振り払うかのように顔を左右に振り、長身の男はカイルの前で跪いた。
「……貴方様がそう決めたのであれば、僕はそれに従うのみです」
カイルの覚悟が決まっていたように、男の覚悟もまた決まっていたのだ。
それを聞いたカイルは男の目の前でしゃがみ込み、男の肩を叩きながら「顔上げろって」と言い、歯を見せて笑った。
「そんじゃ……これからも二人で頑張っていこうな、コーラル」
「……! はい、何処までもお供致しますカイル様!」
──ハミルディーヒ王国第四王子、カイル・ディ・ハミル。自ら王位継承権を放棄し、後継者争いよりいち早く離脱。
この報せがハミルディーヒ王家に更なる混乱を齎したのは、言うまでもない。
「──そろそろか」
後継者問題の中心、ハミルディーヒ王国が王城の一室。
鮮やかな朱色の髪を持つ少年は遠くの空を見上げ、覚悟を決めていた。
そんな少年の後ろに立つ長身の男が、不安げな面持ちで最後の確認を取る。
「──本当に宜しいのですね、カイル様」
カイルと呼ばれた少年は振り向いて、ニヒルな笑みを浮かべた。
「あぁ。俺は──継承権を棄てる。加護属性《ギフト》所持者を囲えないこの国が帝国に勝つ可能性はゼロに近い……俺は負け戦になんて、送られたくないからな」
彼の言葉に長身の男はやるせない気持ちとなる。しかしそんな気持ちを振り払うかのように顔を左右に振り、長身の男はカイルの前で跪いた。
「……貴方様がそう決めたのであれば、僕はそれに従うのみです」
カイルの覚悟が決まっていたように、男の覚悟もまた決まっていたのだ。
それを聞いたカイルは男の目の前でしゃがみ込み、男の肩を叩きながら「顔上げろって」と言い、歯を見せて笑った。
「そんじゃ……これからも二人で頑張っていこうな、コーラル」
「……! はい、何処までもお供致しますカイル様!」
──ハミルディーヒ王国第四王子、カイル・ディ・ハミル。自ら王位継承権を放棄し、後継者争いよりいち早く離脱。
この報せがハミルディーヒ王家に更なる混乱を齎したのは、言うまでもない。