だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
♢♢♢♢
……いつもの習慣で、日の出の頃に目が覚めた。
手元に魔法で水を出し顔を洗うと、私は愛剣を片手に荷台から降りて結界の様子を見に行く。
周囲の森から水をふんだんに拝借しただけはあって、全然傷一つなく結界は残り続けたようだ。流石は我が結界。
それにしても……ここまで鮮明に夢の内容を覚えているのはあの悪魔の優しさなんだろう。
彼がどんな理由でわたしの夢に不法侵入してアドバイスを残していったのかは未だ分からずじまいだが……まぁそのうち分かる事。
今の私に出来る事は緑の竜の呪いをどうにかする事、ただそれだけだ。
ただその事から一つの懸念が残る。病なら治せるリードさんとシャルが呪いを解く事は恐らく不可能だと言う事だ。
彼等が呪いを呪いだと認識してなければ問題ないのか、それとも認識してなくとも問題なのか……それが分からない為、呪われた人達──病人達の治癒が可能なのかどうか、確信が持てなくなってしまった。
果たしてどうしたものか……二人の治癒が不可能だった場合、どうやって呪いの進行を止めたらいいのか。それが私には分からないのだ。
それに、ゲームで未知の感染症とされていたのは……恐らくこれが竜の呪いだと判明しなかったから。尚且つ竜の呪いがオセロマイト王国が滅んだ時点で終息したからなのだろう。
その為、オセロマイト王国を破滅に追いやった未知の感染症とされていた。実際は凶悪な呪いだと言うのに。
ゲームではオセロマイト王国は誰にも救って貰えず破滅の一途を辿った。
だが私はそれを何がなんでも阻止したい。それがマクベスタの友人として──この世界《ゲーム》を知る存在としての使命だと思うから。
そうやって物思いに耽けっていた時、誰かが起きてしまったようで。
「あらイリオーデ、おはよう……ってどうしたの? 顔色が凄く悪いけど……!」
虎車のすぐ側で荷台の車輪にもたれ掛かるように眠っていたイリオーデが、真っ青な顔でフラフラと立ち上がる。
慌てて駆け寄って体を支えたが、本当に顔色が悪い。一体何があったと言うのか。
「──王女、殿下…………っ」
震える唇が私を呼んだ瞬間。彼の綺麗な瞳からポロポロと涙が溢れ出した。
突然の事に混乱し戸惑った私は、とりあえずポケットの中からハンカチーフを取り出してイリオーデの顔に当てた。
そして同時にその涙の理由を尋ねる。
「……夢を見ました。とても悲しい、悔しい夢……」
「悪夢を見たという事?」
「……っ」
こくりと彼は頷いた。その内容は語らなかったものの、イリオーデの様子から相当凄惨な夢だった事は分かる。
どう言う訳か私が触れていると安心するらしいので、皆が起きるまでの間、私はイリオーデと手を繋いであげていた。昨日あんなに接触したんだもの、これぐらいもう余裕よ!
彼の隣に座り、繋いだ左手からイリオーデの小さな震えが伝わって来る。
……いつもの習慣で、日の出の頃に目が覚めた。
手元に魔法で水を出し顔を洗うと、私は愛剣を片手に荷台から降りて結界の様子を見に行く。
周囲の森から水をふんだんに拝借しただけはあって、全然傷一つなく結界は残り続けたようだ。流石は我が結界。
それにしても……ここまで鮮明に夢の内容を覚えているのはあの悪魔の優しさなんだろう。
彼がどんな理由でわたしの夢に不法侵入してアドバイスを残していったのかは未だ分からずじまいだが……まぁそのうち分かる事。
今の私に出来る事は緑の竜の呪いをどうにかする事、ただそれだけだ。
ただその事から一つの懸念が残る。病なら治せるリードさんとシャルが呪いを解く事は恐らく不可能だと言う事だ。
彼等が呪いを呪いだと認識してなければ問題ないのか、それとも認識してなくとも問題なのか……それが分からない為、呪われた人達──病人達の治癒が可能なのかどうか、確信が持てなくなってしまった。
果たしてどうしたものか……二人の治癒が不可能だった場合、どうやって呪いの進行を止めたらいいのか。それが私には分からないのだ。
それに、ゲームで未知の感染症とされていたのは……恐らくこれが竜の呪いだと判明しなかったから。尚且つ竜の呪いがオセロマイト王国が滅んだ時点で終息したからなのだろう。
その為、オセロマイト王国を破滅に追いやった未知の感染症とされていた。実際は凶悪な呪いだと言うのに。
ゲームではオセロマイト王国は誰にも救って貰えず破滅の一途を辿った。
だが私はそれを何がなんでも阻止したい。それがマクベスタの友人として──この世界《ゲーム》を知る存在としての使命だと思うから。
そうやって物思いに耽けっていた時、誰かが起きてしまったようで。
「あらイリオーデ、おはよう……ってどうしたの? 顔色が凄く悪いけど……!」
虎車のすぐ側で荷台の車輪にもたれ掛かるように眠っていたイリオーデが、真っ青な顔でフラフラと立ち上がる。
慌てて駆け寄って体を支えたが、本当に顔色が悪い。一体何があったと言うのか。
「──王女、殿下…………っ」
震える唇が私を呼んだ瞬間。彼の綺麗な瞳からポロポロと涙が溢れ出した。
突然の事に混乱し戸惑った私は、とりあえずポケットの中からハンカチーフを取り出してイリオーデの顔に当てた。
そして同時にその涙の理由を尋ねる。
「……夢を見ました。とても悲しい、悔しい夢……」
「悪夢を見たという事?」
「……っ」
こくりと彼は頷いた。その内容は語らなかったものの、イリオーデの様子から相当凄惨な夢だった事は分かる。
どう言う訳か私が触れていると安心するらしいので、皆が起きるまでの間、私はイリオーデと手を繋いであげていた。昨日あんなに接触したんだもの、これぐらいもう余裕よ!
彼の隣に座り、繋いだ左手からイリオーデの小さな震えが伝わって来る。