だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 清流のように流れ落ちる涙と朝日に照らされるイリオーデの横顔は、こう言っては失礼かもしれないが、何だかとても美しいものだった。
 そうやってしばらく待つと、目を覚ましたディオとシャルが涙を流すイリオーデを見て衝撃のあまりフリーズしていた。
 リードさんやマクベスタも流石にこれは異常事態なのではとイリオーデを心配していて、彼は何度も「心配と迷惑を掛けてしまい申し訳なく思う」と頭を下げていた。

 その後、最後に起きたシュヴァルツが欠伸と共に大きな腹の虫を鳴らせた事で、私達は朝食に取りかかった。
 相変わらず主食はパンなのだが、全部美味しいから全然オーケイです。
 皆で和気藹々と朝食を食べ、準備を終えたらまたもや暴走虎車ドライブの始まり。しかしついにマクベスタがコツを掴んだとかで、昨日と比べるとかなりマシになっている。

 ……いやこれに関してはコツって本当に何なんだろう。
 定期的に休みながら進み、今日は運良くオセロマイト王国近くの街に泊まる事が出来たので野宿では無く普通のベッドで寝られた。
 そうやってオセロマイト王国への道を行く。あの国を救う為に、マクベスタの家を守る為に。
 国境に辿り着くとなんとそこは理由も明かされず封鎖されていて通れなくなっていた。しかしこちらにはマクベスタがいる。
 マクベスタが王家の紋章が刻印された飾りを見せ名乗ると、国境を封鎖していた兵士達は深く頭を垂れながら道を開けた。

 マクベスタが言うには、オセロマイト王国はそこまで領土が大きく無いらしい。
 その為、この国境の辺りから王都まで普通の馬車で休まず行けば一週間程で着くそうなのだが、ここまで来ればと雷虎《プラズマタイガー》が本気を出してくれたようで、何とノンストップで進むこと一日強で王都に着いてしまったのだ。
 マクベスタが近道を知っていたからでもあるが。まぁ、お陰様で虎車に乗ってた私達はまた死にそうになったけれども。

 ──そうして。私達はついにオセロマイト王国が王都……花の都ラ・フレーシャへと足を踏み入れたのだった。
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