だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 玉座よりオセロマイト王が静かにこちらを見下ろす。歳は四十代程だと何処かで聞いた気がするのだが、オセロマイト王の見た目は実年齢よりも老けて見える。
 目の下には隠しきれない隈があり、やつれているようにも。自国で突然原因不明の伝染病が発生したのだ、ストレスも相当なものなのだろう。

「我等が太陽、国王陛下に拝謁致します。マクベスタ・オセロマイト、親善交流の途中ではあるものの……愛する我が国の危機と聞き飛び帰って参りました。こちらはこの危機を脱する為にと立ち上がって下さったアミレス・ヘル・フォーロイト王女殿下とその私兵の方々です」

 マクベスタが恭しく一礼し、私達の紹介をしてくれた。それを受けて私はドレスの裾をつまみ胸に手を当てて改めて名乗る。

「この度は事前の報せも無く礼を欠いた訪問となり申し訳ございません。フォーロイト帝国が第一王女アミレス・ヘル・フォーロイト……我が友マクベスタ・オセロマイトの力となるべく推参しました。微力ながら、この事態のいち早い収束に貢献出来るよう尽力致します」

 その瞬間、周りがざわっ……と明らかにどよめきだした。ちらりと横目で周りを見てみると、オセロマイトのお偉いさん達が青白い顔で狼狽していた。
 ……そんなにおかしいかなぁフォーロイトが頭を下げたのって。人間なんだもの、お辞儀の一つや二つ別にしてもおかしくはないでしょう? この空気、妙にいたたまれないのだけど。
 私の態度が意外とちゃんとしてるから? やっぱり無茶苦茶な態度の方がフォーロイトらしいのかな。中身が違う私ってばフォーロイトの中ではかなりの異端児だし。
 うーむ、どうしようかしらぁ……フォーロイトらしく傲岸不遜慇懃無礼傍若無人に振る舞ってしまった方が話が進むのならそうするけど。
 ……とりあえずやってみるか。そう決めた私は顔から感情を下ろし、ゆっくりと頭を上げた。
 隣でマクベスタが驚いたように目を丸くしているが、一旦それは無視して私は口を開いた。
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