だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 もしそれが効果ありと分かったのなら、ワンチャン来てくれるかもしれない国教会の大司教と共に治癒して回って貰いたい。
 でもさ、呪いって普通はその大元が何とかなれば自然と消えるものよね……じゃあやっぱり、私が緑の竜を何とか出来れば草死病《そうしびょう》感染者も何とかなるのでは?
 まぁその何とかするまでの間、感染者達を救うのを任せる形で構わないか。
 と脳内で一人で完結させたが、これは話す訳にはいかない事項なので……オセロマイト王には今後の動きとして、

「こちらのリードさんとシャルルギルが病の治癒が可能と思われるので、ひとまずはそれで様子を見ようかと。その間に私は原因の根絶を目指します」

 と説明した。オセロマイト王もこれに了承し、

「ではこちらでも出来うる限りの支援をさせて頂く」

 と早速動き出してくれた。その後私達はここの大臣の案内で、体が衰弱し身動きの取れなくなった重症患者が集められた歌劇場という場に案内された。
 その道中で大雑把な感染者数の推移等を聞いていたのだが、最初の感染者が現れ始めた一ヶ月後から爆発的に死亡者数が増えたのだと言う。しかしまたそれは落ち着き、その一ヶ月後にまた同様に増加したとか……。
 そしていざ歌劇場に到着すると、想像以上の感染者達が力なく横たわっていて……その近くでは感染者達の世話をする担当らしき人達があちこち駆け回っている。
 話には聞いていたものの、確かに身体中に植物のツタのような痣が浮かび上がりどんどん衰弱していっているようだ。
 ……これが草死病《そうしびょう》──緑の竜の呪い。苦しむ気力すらも無く静かに枯れて死ぬなんて、何と悲惨で残酷な呪いなのか。
 確かこれ人体が接触するだけで病《のろい》が一瞬で伝播するのよね…………ハッとそれを思い出した私は、慌ててリードさんとシャルの袖を引いて伝えた。

「っ、二人共! 治す為でも感染者の体に直接触れちゃ駄目! 絶対、手袋を着けた状態じゃなきゃ触っちゃ駄目だからね!?」

 この土地に立つ時点でいつ呪いが芽吹くかも分からない状態ではあるが、私の推測が正しければ……爆発的な感染者の増加は呪いであるが故の事象だ。
 呪いが進行した段階のまま他者に伝播するのだとしたら。死亡者数が爆発的に増加する時期が不定期に来ていた事にも納得出来る。
 呪いは病ではない。そしてここは割となんでもありのファンタジーな世界だ。その為、進行した段階のまま他者に伝染る可能性がある…………。
 だからこそ、もしここで重症患者達から呪いを受け取ってしまえば……彼等も一気に重症に陥る事だろう。

「分かった、王女様がそう言うのならそうする」
「……成程。触れるだけで人から人に伝染るタイプなんだね、この病は」

 すぐに私の言いたい事を理解してくれた二人にホッとしつつも、大臣に未使用の手袋は無いかと尋ねると、人数分を急いで用意すると言って大臣は駆け出した。
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