だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……迸る生命の星よ。我が呼び声、我が言の葉を聞き届け給え。我が欲せしは神秘、我が願いしは幸福、我が求めしは幻想、我が望みしは安寧。悪しきを滅し、悪しきを排し、悪しきを覆せ。天上の主よ、御照覧あれ。是は人の犯す傲慢、人の超えし最悪の善行なり──神聖十字臨界」
清廉な彼の唇が紡ぐその言葉に従うように、彼を中心に金色の魔法陣が半径二十メートル程まで広がる。それはやがて上空にいくつもの魔法陣を生み出し、多重魔法陣となる。
そこから溢れ出る光の柱はたちまち人々を包み込み、その心臓の真上に小さな光の十字架を作り上げた。
時間が経てば経つ程その十字架は黒く染まってゆき、十字架が黒く染まるのと同時に感染者達の体にあった痣が消えていった。
十字架が完全に黒く染まりきった時。まるでその罪の重さに引き摺り堕とされるかのように、十字架は逆さを向く。
「──裁定を受けよ」
リードさんが低い声でそう告げた刹那、魔法陣の範囲内にいる感染者達の心臓の真上に浮かんでいた黒い逆十字が砕け散り霧散した。
その直後、力なく横たわっていた感染者達が次々に活力を取り戻した。その体から痣は消えており、失った筈の活力も復活している。
これは、もしかしなくても……。
「…………治癒、出来てる……?」
目の前の光景に呆然としながらボソリと呟くと、リードさんが地面へと背中から倒れ込み、ユラユラ震える手でピースを作っていて。
「……い、いぇーい……せいこー、したよ。ぁー……つかれた…………」
滝のように汗が流れ、その口元には力の入っていないへらへらした笑みがある。元気になった感染者達と打って変わって、リードさんは異常に疲弊していた。
「どっ、どうしたのリードさん!?」
「……はは、いやぁ、情けないなぁ……たった一回でこれとか……」
急いで駆け寄りリードさんの体を揺らすと、彼は悔しそうに弱々しい声を発した。
「……これじゃあ、みんなを助けるのに……どれだけかかるんだろう。やっぱり……僕には……」
「ねぇ教えてリードさん、貴方が今使った治癒魔法は何なの!? どうして貴方はそんなに疲弊してるの……?!」
「…………今のは治癒魔法なんかじゃないよ。あれは、ただの光魔法……」
治癒魔法じゃない? 一体どう言う事なんだ? と私は固唾を飲んだ。
清廉な彼の唇が紡ぐその言葉に従うように、彼を中心に金色の魔法陣が半径二十メートル程まで広がる。それはやがて上空にいくつもの魔法陣を生み出し、多重魔法陣となる。
そこから溢れ出る光の柱はたちまち人々を包み込み、その心臓の真上に小さな光の十字架を作り上げた。
時間が経てば経つ程その十字架は黒く染まってゆき、十字架が黒く染まるのと同時に感染者達の体にあった痣が消えていった。
十字架が完全に黒く染まりきった時。まるでその罪の重さに引き摺り堕とされるかのように、十字架は逆さを向く。
「──裁定を受けよ」
リードさんが低い声でそう告げた刹那、魔法陣の範囲内にいる感染者達の心臓の真上に浮かんでいた黒い逆十字が砕け散り霧散した。
その直後、力なく横たわっていた感染者達が次々に活力を取り戻した。その体から痣は消えており、失った筈の活力も復活している。
これは、もしかしなくても……。
「…………治癒、出来てる……?」
目の前の光景に呆然としながらボソリと呟くと、リードさんが地面へと背中から倒れ込み、ユラユラ震える手でピースを作っていて。
「……い、いぇーい……せいこー、したよ。ぁー……つかれた…………」
滝のように汗が流れ、その口元には力の入っていないへらへらした笑みがある。元気になった感染者達と打って変わって、リードさんは異常に疲弊していた。
「どっ、どうしたのリードさん!?」
「……はは、いやぁ、情けないなぁ……たった一回でこれとか……」
急いで駆け寄りリードさんの体を揺らすと、彼は悔しそうに弱々しい声を発した。
「……これじゃあ、みんなを助けるのに……どれだけかかるんだろう。やっぱり……僕には……」
「ねぇ教えてリードさん、貴方が今使った治癒魔法は何なの!? どうして貴方はそんなに疲弊してるの……?!」
「…………今のは治癒魔法なんかじゃないよ。あれは、ただの光魔法……」
治癒魔法じゃない? 一体どう言う事なんだ? と私は固唾を飲んだ。