だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

89.緑の竜2

「なんだこの空間…………って、扉?」

 ドーム状の地下空間。そこに大きな石の扉があるのだ。
 まるで隠しダンジョンかのように! 何これ胸踊る……っ!
 石の扉にはガタガタの文字でこう書かれている。『この先、空を越えたる災いありし迷宮なり。偉大なる厄災を恐れぬ者は蛮勇を奮うがよい』と……。
 何これかっこいい……意味はよく分からないけれど凄くかっこいい。意気揚々と扉を体全体を使って押し、私は地下大洞窟に突入した。
 竜の呪いが蔓延しているとは聞いていたが、確かに地下大洞窟に入った途端空気が重くなり悪寒が背に抱き着いてくる。
 呪いにはかからないものの、それなりに体への影響は出るようだ。呼吸は荒くなり体の震えは止まらない。
 長時間い続けたら流石にやばそうね。でも困った事に緑の竜はこのクソデカ地下大洞窟の最奥にいると言う。
 案内地図とかないかな……現在地とかが分かるやつ。緑の竜がどこで眠ってるのかも分かるやつがいいわ。

 そんなものがある筈もなく。とにかくこの広い洞窟を進んでいくしかないのだ。
 地下大洞窟内にはありとあらゆる生物がいなかった。……いや。正確にはいたのだが、その全てが見るも無惨なミイラと成り果てている。恐らくは呪いの影響だろう。
 植物も魔物も動物も……等しくその命を吸い取られたようだ。
 だからこそとても静かで何も危険な事は起きない。どこに行けばいいのかも分からない場所でこんな風に一人きりでは、否応なしに不安に襲われてしまう。

「寂しいな……」

 アミレスになってから六年間私の傍には誰かしらがいてくれたから……本当に誰もいないひとりぼっちなんて、初めてかもしれない。
 ならば何十年と眠り続けていたらしい緑の竜は……どれだけ寂しい思いをしているのだろうか。更に瀕死と聞いたし……呪いは何とかしなきゃだけど、可能なら助けてあげたいな。
 ギュッと震える手を握り締め、また一歩踏み出す。
 …………何時間か歩き続けていると、何やら露骨に怪しい場所を見つけた。不自然に白く光っている入口……なんだこれは。なんだこの小部屋。
 露骨に怪しい空間には謎の魔法陣と謎の看板があった。
 その看板には石の扉に書かれていたものと似た筆跡で『空を越えし災い。愚かなる者は迷宮に囚われよ。これ本当に危ないのよ? 危ないんだから! 絶対使わないように! 忠告してあげたんだからね!! どうなっても知らないんだから!!』と書かれていた。
 ええ……どう反応したらいいんだろうこれは。なんだか凄くツンデレ感のある看板だわ。
 しかしこの看板と魔法陣、どちらもかなり経年劣化によりボロボロだった。その為か魔法陣に干渉する事が出来てしまったのだ。
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