だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「ではもう一つの話……この国の被害状況について教えていただけますか?」
「はい。勿論です──……」
ドライフルーツを取られて不機嫌なナトラをあやしつつ、私はミカリアの話に耳を傾けた。
現時点で分かっている被害者は全国民のうちおよそ五割、つまり半分近い。被害は発生源とも言われていた北部に三割と集中していて、北部に住む人達の過半数は亡くなられたようだ。
次いで王都ラ・フレーシャを含む中央部が一割、発生源より離れていた南部が一割程。
ラ・フレーシャには重症者が多く被害が爆発的に増える筈だったのだが、リードさんとシャルの活躍でその重症者が減少し、被害も一割程度に抑えられたようだ。
そしてこれは予想通りだったのだが……感染経路が不明である事から、人々は自慢の野菜や果物はたまた家畜にまで手を出せず食事に困っていたらしい。
そんな時にシャンパー商会が独自の最新鋭運搬技術を駆使して大量の食材と共に駆け付けたからか、それを手配した私が救世主として崇められてしまっているようなのだ。
更に驚きだったのだが、なんとハミルディーヒ王国からも支援物資が届いていたとかで……様々な縁(ほとんど私とミカリアは強調していた)に恵まれ、オセロマイト王国は窮地を脱したのだ。
ちなみに、ミカリアとラフィリアはラ・フレーシャを除く全ての町や村を飛び回りぽんぽん魔法を連発していたらしい。たったの一日強で国中を癒して回りきったこの男達に、賞賛を通り超えていっそ恐怖すら感じた。
……まぁこの国が滅びないのであればそれでもう満足ですとも。何か聖女と呼ばれてる事も、この国の存続が確約された事と比べれば些細な事。気にしない事にした。
こうして一連の説明を聞き、もうミカリアと共にいる理由は無くなった……のだが。一応聞いておきたい事がもう一つだけあるのだ。
「…………ちなみに、どうして聖人様は部下に私を拉致するよう頼んでいたのでしょうか」
そう、実はそこの説明はまだ受けていない。なのではよ話せやとにこやかに圧をかけてみた所……ミカリアは少し頬を赤らめて、
「……僕が、姫君にお会いしてみたいと思っていたからです」
視線を泳がしながら答えた。
いや何照れてるんですか聖人様。そういうのはミシェルちゃんに見せなさいよ。ヒロインじゃない私相手に何をそんな照れているんだこの男は。
そんなミカリアによって強引に話題が変えられる。ミカリアは両手をパンっと合わせて胸の前で傾けた。
「それより姫君……聖人などと肩書きで呼ばず、どうか僕の事はミカリアと名前で呼んで下さ──」
「え、無理です」
「──ちょっと答えるの早すぎませんか? そのように食い気味で答える事なのですか……?」
まさかの申し出に私は即答した。産まれた時から聖人のミカリアに名前を呼ぶ事を許される──それすなわち友達認定の証!
親しい間柄の人間がほとんどいないミカリアにとって、名前で呼んで欲しいと相手に頼む事は『親しくなりたい』と言っているのと同義。
ゲームで見たもの、ミカリアから名前で呼んでと言われたミシェルちゃんが人前で名前で呼んでしまい、ミカリアガチ勢集団の大司教達に囲まれシメられそうになったのを!
もしここで私が軽率に名前で呼ぼうものなら、横に座っているミカリア至上主義のラフィリアによって瞬きのうちに地に沈められる事だろう。
そんなの断固拒否! こんな所で死亡フラグを立てたくない!
「はい。勿論です──……」
ドライフルーツを取られて不機嫌なナトラをあやしつつ、私はミカリアの話に耳を傾けた。
現時点で分かっている被害者は全国民のうちおよそ五割、つまり半分近い。被害は発生源とも言われていた北部に三割と集中していて、北部に住む人達の過半数は亡くなられたようだ。
次いで王都ラ・フレーシャを含む中央部が一割、発生源より離れていた南部が一割程。
ラ・フレーシャには重症者が多く被害が爆発的に増える筈だったのだが、リードさんとシャルの活躍でその重症者が減少し、被害も一割程度に抑えられたようだ。
そしてこれは予想通りだったのだが……感染経路が不明である事から、人々は自慢の野菜や果物はたまた家畜にまで手を出せず食事に困っていたらしい。
そんな時にシャンパー商会が独自の最新鋭運搬技術を駆使して大量の食材と共に駆け付けたからか、それを手配した私が救世主として崇められてしまっているようなのだ。
更に驚きだったのだが、なんとハミルディーヒ王国からも支援物資が届いていたとかで……様々な縁(ほとんど私とミカリアは強調していた)に恵まれ、オセロマイト王国は窮地を脱したのだ。
ちなみに、ミカリアとラフィリアはラ・フレーシャを除く全ての町や村を飛び回りぽんぽん魔法を連発していたらしい。たったの一日強で国中を癒して回りきったこの男達に、賞賛を通り超えていっそ恐怖すら感じた。
……まぁこの国が滅びないのであればそれでもう満足ですとも。何か聖女と呼ばれてる事も、この国の存続が確約された事と比べれば些細な事。気にしない事にした。
こうして一連の説明を聞き、もうミカリアと共にいる理由は無くなった……のだが。一応聞いておきたい事がもう一つだけあるのだ。
「…………ちなみに、どうして聖人様は部下に私を拉致するよう頼んでいたのでしょうか」
そう、実はそこの説明はまだ受けていない。なのではよ話せやとにこやかに圧をかけてみた所……ミカリアは少し頬を赤らめて、
「……僕が、姫君にお会いしてみたいと思っていたからです」
視線を泳がしながら答えた。
いや何照れてるんですか聖人様。そういうのはミシェルちゃんに見せなさいよ。ヒロインじゃない私相手に何をそんな照れているんだこの男は。
そんなミカリアによって強引に話題が変えられる。ミカリアは両手をパンっと合わせて胸の前で傾けた。
「それより姫君……聖人などと肩書きで呼ばず、どうか僕の事はミカリアと名前で呼んで下さ──」
「え、無理です」
「──ちょっと答えるの早すぎませんか? そのように食い気味で答える事なのですか……?」
まさかの申し出に私は即答した。産まれた時から聖人のミカリアに名前を呼ぶ事を許される──それすなわち友達認定の証!
親しい間柄の人間がほとんどいないミカリアにとって、名前で呼んで欲しいと相手に頼む事は『親しくなりたい』と言っているのと同義。
ゲームで見たもの、ミカリアから名前で呼んでと言われたミシェルちゃんが人前で名前で呼んでしまい、ミカリアガチ勢集団の大司教達に囲まれシメられそうになったのを!
もしここで私が軽率に名前で呼ぼうものなら、横に座っているミカリア至上主義のラフィリアによって瞬きのうちに地に沈められる事だろう。
そんなの断固拒否! こんな所で死亡フラグを立てたくない!