だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
(ええそうよ、アミレス様はとってもお美しい上に可愛いくて心優しく尊くてこの世の何よりも素晴らしい女神のような御方。それがきちんと分かるなんて、ここの人達は皇太子殿下よりもまともな頭をしてるのね)
どこか満足げな様子でサラリと祖国の皇太子を貶すメイシア。メイシアはアミレスを冷遇するエリドル・ヘル・フォーロイトとフリードル・ヘル・フォーロイトがかなり嫌い──というか、理解出来ないのであった。
どうしてアミレス様を愛さないなんて事が出来るのかしら、まともな脳を持つ人ならばそんな事出来る筈もないのに……とメイシアは考え、アミレスを愛さないばかりか嫌うエリドルとフリードルの事を同じ人間として全く理解出来ないと日々思っていた。
その為、心の内でこうして容赦のない一言を放つ事が多いのである。
「……メイシア嬢、どうしてここに……品物の受け取りは国境近くの村でという話だったんじゃないのか?」
マクベスタは人だかりから抜け出してメイシアの元へと向かいながらそう尋ねた。アミレスが言うにはそういう話だったのだが、今回は少し訳が違うらしい。
それにメイシアは小さく微笑んで、
「この大荷物をアミレス様に持たせる訳にはいかなかったので」
ちらりと飛空船を一瞥する。しかしこれはマクベスタの望む答えではなかった。
「いや、そうではなく……何故オレ達がここにいると分かったんだ?」
「──全て聞いたからです。アミレス様が何をなされようとしているのか……ですので、少しでもアミレス様のお力になろうと思い、父に頼みこの飛空船の使用権と会長代理の権限を借りたのです」
「聞い、た…………そうか、ハイラさんか……!」
誰からこの事を聞いたのかを察したマクベスタは、どうしてとばかりに眉をひそめた。
そう、メイシアにこの件の事を話したのはハイラであった。
それはアミレスからの命令違反になりかねない事。ハイラはそのような危ない綱渡りをするような人物では無いのに、今回ばかりは違った……その事にマクベスタは戸惑っていた。
(あの人が全て話した? それをアミレスが望む筈もないと、他ならないあの人が気づかない筈が無い。ならばどうして…………)
「『姫様の事をどうかよろしくお願い致します』と商談の時にハイラさんに言われました。あの人は……アミレス様に怒られる事よりも、アミレス様が無事に戻って来る事を望んでいるようです」
マクベスタの疑問に答えるようにメイシアは語った。それを聞いて、マクベスタは腑に落ちた気分であった。
言われてみればそれしか可能性は考えられなかったから。その理由であれば、ハイラという人物を突き動かす燃料たり得るから。
「ですのでわたしは今こうして、シャンパー商会で開発されたばかりの運送経路を用いてこちらに来ているのです。それとそろそろサインしてください」
「あ、あぁすまない。名前で良かったか?」
「はい…………受け取り責任者のサイン、いただきました。それではこれより搬入しますので、何か荷馬車の類を用意いただければたいへん助かるのですが……」
契約書を裏から支え、マクベスタは言われた通りにサインする。それを確認したメイシアが左手を上げ合図を送ると、ついに商品の移送が始まった。
護衛の男が魔法にて大量の商品を飛空船より降ろす。それが山のように積まれ、人々は顎が外れたのかと錯覚する程口を開いたまま唖然としていた。
金額に換算すればどれだけの大金となるのか……誰もがその商品の山を見つめそう考えた。それと同時に。
──あれだけの物資を用意して下さるなんて、氷結の聖女様は海よりも深く空よりも広い尊き慈愛の心をお持ちであらせられるのだ!
そう、観衆は氷結の聖女を崇め始めたのである。
感涙に咽び泣く民衆と、他国の幼い王女が見せた常識外の慈善。
それに心打たれたオセロマイト王国中枢部があっという間に彼女に心酔したのは、もはや言うまでもない。
どこか満足げな様子でサラリと祖国の皇太子を貶すメイシア。メイシアはアミレスを冷遇するエリドル・ヘル・フォーロイトとフリードル・ヘル・フォーロイトがかなり嫌い──というか、理解出来ないのであった。
どうしてアミレス様を愛さないなんて事が出来るのかしら、まともな脳を持つ人ならばそんな事出来る筈もないのに……とメイシアは考え、アミレスを愛さないばかりか嫌うエリドルとフリードルの事を同じ人間として全く理解出来ないと日々思っていた。
その為、心の内でこうして容赦のない一言を放つ事が多いのである。
「……メイシア嬢、どうしてここに……品物の受け取りは国境近くの村でという話だったんじゃないのか?」
マクベスタは人だかりから抜け出してメイシアの元へと向かいながらそう尋ねた。アミレスが言うにはそういう話だったのだが、今回は少し訳が違うらしい。
それにメイシアは小さく微笑んで、
「この大荷物をアミレス様に持たせる訳にはいかなかったので」
ちらりと飛空船を一瞥する。しかしこれはマクベスタの望む答えではなかった。
「いや、そうではなく……何故オレ達がここにいると分かったんだ?」
「──全て聞いたからです。アミレス様が何をなされようとしているのか……ですので、少しでもアミレス様のお力になろうと思い、父に頼みこの飛空船の使用権と会長代理の権限を借りたのです」
「聞い、た…………そうか、ハイラさんか……!」
誰からこの事を聞いたのかを察したマクベスタは、どうしてとばかりに眉をひそめた。
そう、メイシアにこの件の事を話したのはハイラであった。
それはアミレスからの命令違反になりかねない事。ハイラはそのような危ない綱渡りをするような人物では無いのに、今回ばかりは違った……その事にマクベスタは戸惑っていた。
(あの人が全て話した? それをアミレスが望む筈もないと、他ならないあの人が気づかない筈が無い。ならばどうして…………)
「『姫様の事をどうかよろしくお願い致します』と商談の時にハイラさんに言われました。あの人は……アミレス様に怒られる事よりも、アミレス様が無事に戻って来る事を望んでいるようです」
マクベスタの疑問に答えるようにメイシアは語った。それを聞いて、マクベスタは腑に落ちた気分であった。
言われてみればそれしか可能性は考えられなかったから。その理由であれば、ハイラという人物を突き動かす燃料たり得るから。
「ですのでわたしは今こうして、シャンパー商会で開発されたばかりの運送経路を用いてこちらに来ているのです。それとそろそろサインしてください」
「あ、あぁすまない。名前で良かったか?」
「はい…………受け取り責任者のサイン、いただきました。それではこれより搬入しますので、何か荷馬車の類を用意いただければたいへん助かるのですが……」
契約書を裏から支え、マクベスタは言われた通りにサインする。それを確認したメイシアが左手を上げ合図を送ると、ついに商品の移送が始まった。
護衛の男が魔法にて大量の商品を飛空船より降ろす。それが山のように積まれ、人々は顎が外れたのかと錯覚する程口を開いたまま唖然としていた。
金額に換算すればどれだけの大金となるのか……誰もがその商品の山を見つめそう考えた。それと同時に。
──あれだけの物資を用意して下さるなんて、氷結の聖女様は海よりも深く空よりも広い尊き慈愛の心をお持ちであらせられるのだ!
そう、観衆は氷結の聖女を崇め始めたのである。
感涙に咽び泣く民衆と、他国の幼い王女が見せた常識外の慈善。
それに心打たれたオセロマイト王国中枢部があっという間に彼女に心酔したのは、もはや言うまでもない。