だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
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 ……──これが、今より二年程前の話です。私と姫様が運命的な出会いを果たしやはり運命だったのだと証明された日ですね。
 違う? 何言ってるんだ? いいえ、私は何も間違った事は申しておりません。
 私と姫様は間違いなく運命だったのですよ。でなくてはあのような劇的な出会いは果たさないでしょう。

 さて。私が姫様の専属侍女となったのは実は半年前の話なのです。それまでの一年と半年の間、私は姫様の周りに散らばるゴミ屑を一つ一つ丁寧に廃棄していっておりました。
 この時の為にあったのだと思う程私の知恵はよく働き、次々に屑を陥れる事が出来て楽しかったです。あの手この手ありとあらゆる手段を駆使し、時に実家の権威を使ってまでして私は彼女達を社会的に抹殺しました。
 たかだか十六の私には彼女達の未来を完膚なきまでに潰す事が限界だったのです。
 ただその際に厄介だったのがケイリオル卿でした。流石に嘘八百で騙せるような相手ではないので、姫様に割り当てられていた予算の横領について大人しく語りました。
 するとケイリオル卿もそれにはかなり怒っていらしたようでした。顔の布のせいで何も分かりませんが。……とまぁ、そのお陰もありまして、私が独断で皇宮二班の侍女を次々追い出したのもそういう事ならとお許しを得ました。
 あぁちなみに。私はこの二年で姫様を心から敬愛する事となりましたが……同時に皇帝陛下と皇太子殿下の事は嫌いになりましたね。心底。
 健気で努力家な私の姫様の期待を裏切る豚野郎ですから。……あら、口が滑ってしまいましたわ。
 私の口が悪い? それは気のせいですわよ。
 姫様とお呼びするようになった経緯は秘密です。私と、姫様の二人だけの秘密。……乙女の秘密を暴くのは良くない事でしてよ?

 長話はこのぐらいにして。とりあえず私は、建国祭での城の臨時侍女の仕事を終わらせなければならないのです。この仕事のせいで、熱に魘される姫様の付きっきりの看病が出来ないのですから!
 ですのでケイリオル卿も嫌いです。いくら私が優秀だからとこのような命令を下してくれましたね…………っ!
 早急に終わらせて、すぐに戻りますからね姫様! 貴女のハイラがすぐに向かいますから!!



 …………私を専属侍女に選んで下さった事、私に名を与えて下さった事、私に夢を見させて下さった事……全ての恩に報いるべく、私はこれからも貴女に尽くします。
 愛しの姫様。どうか、これからも貴女のお傍に──。
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