だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
99.氷結の聖女
「……ん……ぁ、いまなんじ……?」
瞼を開き、霞む視界で自分の手を捉える。大きくあくびをしながら布団を押し退けて体を起こし、窓から射し込む温かい光を見て眩しさから瞼を擦る。
「今は昼過ぎぐらいっすよー、姫さん」
「ししょう……? おはよ……」
「はは、まだまだ眠たいみたいっすねぇ。俺達のお姫様は」
ベッドの傍で椅子に座り、足を組んで上機嫌にはにかむ師匠がそこにはいた。あまりにも笑顔が眩しくて、私は目を細めていた。
ようやく視界が鮮明になって来たかと思えば、私のすぐ隣で体を丸めて眠るナトラとシルフがいた。まだ起きる気配のないシルフの頭を撫でながら、私は思い出したように師匠に感謝する。
「そうだ、師匠。手紙ちゃんと届けてくれたんだよね……ありがとうございます。予想とは違う人が来たけど、でも助かったので……本当にありがとう」
「そりゃ良かった。姫さんの役に立てて光栄です」
ぺこりと頭を下げると、師匠はそう言いながらおもむろに立ち上がった。そして机と長椅子《ソファ》の方に歩いてゆき、何らかの衣類を手に戻って来た。
ギシッと音を立てて師匠はベッドに腰を下ろす。そしてその衣類を私に手渡して来て。リボンとフリルが沢山ついた、たいへん可愛らしい服であった。
「それ、緑の竜用にここの人間が用意した服らしいんすよ。俺達が渡してもそいつは怒るだろうし、姫さんから渡してやってくださいな」
「ナトラ用に…………なんとありがたい……」
確かに子供用の服で、私が着るには少し小さい。これは師匠の言う通りナトラ用の服なのだろう。
ナトラはあの白いワンピースに私が着ていたローブだけだったので……こうしてちゃんとした服を用意して貰えるととても助かる。
横で眠るナトラの可愛い寝顔を見て、私はふっと小さく笑った。ナトラはとっても可愛いからこの服も似合うんだろうなぁ……。早く見たいな、でも起こしちゃうのは申し訳ないしな。
ナトラのマシュマロほっぺをぷにぷに押して癒されていたのだが……私の視界の端に、師匠のキラキラ顔が映り込み続けている。
なんかめっちゃ見られてる。いや何その満面の笑み。
「……何か私の顔についてますかね?」
「ん? どうしたんすか急に」
いやどうしたんすかはこっちのセリフなのよ。師匠は一体どういう意図で私の事をじっと見つめてるんですかね。
「いや、その……何でずっとこっちを見てるのかなって……」
恐る恐る目を逸らしながら尋ねると、師匠はこれまた随分と爽やかな笑顔で答えた。
瞼を開き、霞む視界で自分の手を捉える。大きくあくびをしながら布団を押し退けて体を起こし、窓から射し込む温かい光を見て眩しさから瞼を擦る。
「今は昼過ぎぐらいっすよー、姫さん」
「ししょう……? おはよ……」
「はは、まだまだ眠たいみたいっすねぇ。俺達のお姫様は」
ベッドの傍で椅子に座り、足を組んで上機嫌にはにかむ師匠がそこにはいた。あまりにも笑顔が眩しくて、私は目を細めていた。
ようやく視界が鮮明になって来たかと思えば、私のすぐ隣で体を丸めて眠るナトラとシルフがいた。まだ起きる気配のないシルフの頭を撫でながら、私は思い出したように師匠に感謝する。
「そうだ、師匠。手紙ちゃんと届けてくれたんだよね……ありがとうございます。予想とは違う人が来たけど、でも助かったので……本当にありがとう」
「そりゃ良かった。姫さんの役に立てて光栄です」
ぺこりと頭を下げると、師匠はそう言いながらおもむろに立ち上がった。そして机と長椅子《ソファ》の方に歩いてゆき、何らかの衣類を手に戻って来た。
ギシッと音を立てて師匠はベッドに腰を下ろす。そしてその衣類を私に手渡して来て。リボンとフリルが沢山ついた、たいへん可愛らしい服であった。
「それ、緑の竜用にここの人間が用意した服らしいんすよ。俺達が渡してもそいつは怒るだろうし、姫さんから渡してやってくださいな」
「ナトラ用に…………なんとありがたい……」
確かに子供用の服で、私が着るには少し小さい。これは師匠の言う通りナトラ用の服なのだろう。
ナトラはあの白いワンピースに私が着ていたローブだけだったので……こうしてちゃんとした服を用意して貰えるととても助かる。
横で眠るナトラの可愛い寝顔を見て、私はふっと小さく笑った。ナトラはとっても可愛いからこの服も似合うんだろうなぁ……。早く見たいな、でも起こしちゃうのは申し訳ないしな。
ナトラのマシュマロほっぺをぷにぷに押して癒されていたのだが……私の視界の端に、師匠のキラキラ顔が映り込み続けている。
なんかめっちゃ見られてる。いや何その満面の笑み。
「……何か私の顔についてますかね?」
「ん? どうしたんすか急に」
いやどうしたんすかはこっちのセリフなのよ。師匠は一体どういう意図で私の事をじっと見つめてるんですかね。
「いや、その……何でずっとこっちを見てるのかなって……」
恐る恐る目を逸らしながら尋ねると、師匠はこれまた随分と爽やかな笑顔で答えた。