だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「…………僕の事を、友達と……言って下さるのですね」
「私なんかが友達では不服でしょうけど……そこはどうか、我慢ください」
「っいえ! そんな事は…………寧ろ、大変光栄で……こんな夢みたいな事があってもいいのかと不安で」
ポロポロと涙を流しながらそう話すミカリアは、何十年も生きる不老不死の聖人なんて大層な存在ではなく、どこにでもいるような普通の少年のようだった。
ミカリアから手を離し、背伸びして彼の頬を流れる涙を指の背で拭う。
その事に驚き、恥ずかしいのか紅潮するミカリアを見上げて私はいたずらっ子のように笑う。
「どうか私が死ぬ前にもう一度会いに来てくださいね。後何年その猶予があるかも分かりませんが……約束ですよ? ミカリア様!」
指切りしようと小指を立てて彼の前に差し出す。
ちなみにアンディザは日本の乙女ゲームブランドの出したゲームなので西洋風ファンタジーでありながら指切りげんまんなんて文化があるのだ! あるあるだね!
どこか複雑な面持ちのミカリアとたどたどしく「ゆーびきーりげんまん」と約束する。
その後暫く呆然と自身の小指をじっと見つめるミカリアに疑問を抱きつつも、私は他にどんな本があるのかと別の本棚へ向かった。
そして大書庫から出ようという頃にはミカリアがそろそろ帰りますねと言った。しかしよりにもよってこのタイミングで私は思い出したのだ、王妃の事を。
運良くミカリアと目が合ったのでちょいちょいと手招きすると、シルフやリードさんにじとーっと睨まれつつ、ミカリアはニコニコ微笑みながらスススっとこちらに来て屈んでくれた。
彼の耳元に手を当てて、私は小声で内緒話をする。
「あの、厚かましい事は重々承知の上ですが……帰る前にエリザリーナ王妃の治癒をお願いしてもいいですか? ここ数年でかなり体が衰弱しているそうで……」
せっかく目の前にはあの聖人様がいるんだ。彼に頼まないでどうする!
するとミカリアは「勿論構いませんよ」と快諾してくれた。これで少しでも王妃が元気になると良いのだけど……。
そして別れ際、ミカリアに突然右手を出せと言われた。よく分からないけれどとりあえず右手をさし出してみる。
「んっ……また、必ずや会いに行きますね」
「ひぇっ!?」
「さようなら、姫君。皆さんも」
ミカリアは私の手の甲に口付けを落とした。彼の柔らかい唇が手に触れて、私は思わず上擦った叫びをあげる。
優雅に一礼した後、ミカリアは笑顔で王妃の元へと向かった。
「私なんかが友達では不服でしょうけど……そこはどうか、我慢ください」
「っいえ! そんな事は…………寧ろ、大変光栄で……こんな夢みたいな事があってもいいのかと不安で」
ポロポロと涙を流しながらそう話すミカリアは、何十年も生きる不老不死の聖人なんて大層な存在ではなく、どこにでもいるような普通の少年のようだった。
ミカリアから手を離し、背伸びして彼の頬を流れる涙を指の背で拭う。
その事に驚き、恥ずかしいのか紅潮するミカリアを見上げて私はいたずらっ子のように笑う。
「どうか私が死ぬ前にもう一度会いに来てくださいね。後何年その猶予があるかも分かりませんが……約束ですよ? ミカリア様!」
指切りしようと小指を立てて彼の前に差し出す。
ちなみにアンディザは日本の乙女ゲームブランドの出したゲームなので西洋風ファンタジーでありながら指切りげんまんなんて文化があるのだ! あるあるだね!
どこか複雑な面持ちのミカリアとたどたどしく「ゆーびきーりげんまん」と約束する。
その後暫く呆然と自身の小指をじっと見つめるミカリアに疑問を抱きつつも、私は他にどんな本があるのかと別の本棚へ向かった。
そして大書庫から出ようという頃にはミカリアがそろそろ帰りますねと言った。しかしよりにもよってこのタイミングで私は思い出したのだ、王妃の事を。
運良くミカリアと目が合ったのでちょいちょいと手招きすると、シルフやリードさんにじとーっと睨まれつつ、ミカリアはニコニコ微笑みながらスススっとこちらに来て屈んでくれた。
彼の耳元に手を当てて、私は小声で内緒話をする。
「あの、厚かましい事は重々承知の上ですが……帰る前にエリザリーナ王妃の治癒をお願いしてもいいですか? ここ数年でかなり体が衰弱しているそうで……」
せっかく目の前にはあの聖人様がいるんだ。彼に頼まないでどうする!
するとミカリアは「勿論構いませんよ」と快諾してくれた。これで少しでも王妃が元気になると良いのだけど……。
そして別れ際、ミカリアに突然右手を出せと言われた。よく分からないけれどとりあえず右手をさし出してみる。
「んっ……また、必ずや会いに行きますね」
「ひぇっ!?」
「さようなら、姫君。皆さんも」
ミカリアは私の手の甲に口付けを落とした。彼の柔らかい唇が手に触れて、私は思わず上擦った叫びをあげる。
優雅に一礼した後、ミカリアは笑顔で王妃の元へと向かった。