だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「おいそこの司祭、浄化とか出来ないのか! アミィが人間に穢された!!」
「なんじゃあの人間、アミレスに唾をつけおって……」
「浄化かぁ…………やってみようかな。ふふっ……聖人がこの扱いとか、ちょっといい気味だ」
「……む、どうしたんだディオ、イリオーデ、マクベスタ。石像のように固まって」
ポカーンと立ち尽くす私の周りで皆が騒ぎ出す。
リードさんによって念入りに浄化された私の手は何だか輝いている。しかしそんな事も気にならないぐらい、私の頭は突然の事にショートしていた。
──攻略対象やる程のイケメンにあんな事されて! 平気なわけないでしょう!!?
前世の自分の顔や名前や性格は全く覚えてないものの、異性やら恋愛関係に不慣れであった事は分かった。
も〜〜っ、ミカリアはあんな事ホイホイやるタイプじゃないでしょ! いくら私がフォーロイト帝国の王女だからって何してるのよまったく!! 心臓に悪いったらありゃしない!
♢♢♢♢
ミカリアが神殿都市に戻った数時間後。お城の一室にて私達はささやかな祝宴を楽しんでいた。
これはオセロマイト王が開いてくれた小規模なパーティーであり、参加者は私達とオセロマイト王とマクベスタ兄、そして突然快復した王妃である。
マクベスタもマクベスタ兄もオセロマイト王も王妃の快復を心から喜んでいて、私もなんだか嬉しくなった。
途中でマクベスタ達に囲まれる王妃と目が合う。私を見てハッと何か言いたそうな顔をした彼女に向け、私は口元に人差し指を当てて、しー。とする。
すると王妃はこくりと一度頷き何も言わない事を選んでくれたらしい。……恐らく彼女が言おうとした事はミカリアの事だろう。
あれはミカリアの優しさだ。ミカリアがこの場にいない以上、わざわざ掘り返すのも野暮だと思う。
「おねぇちゃん楽しんでる?」
「シュヴァルツ! ずっといなかったけどどこにいたの?」
色とりどりの料理を楽しんでいたらひょっこりとシュヴァルツが現れた。
シュヴァルツはまっすぐこちらを見上げて、
「すっごい疲れてたからずっと部屋で休んでたのぉ。あっそうだ! おかえりー、おねぇちゃん!」
と明るく笑った。ただいまと返して、私はシュヴァルツに何か食べたい物は無いかと尋ねた。
肉が食べたいと言ったシュヴァルツに、薄く切られた牛の肉をいくつか取り分けて渡す。シュヴァルツはたいへん美味しそうにそれを頬ばっていた。
私の皿が空になると、どこからとも無くイリオーデが現れて「何をご所望ですか」と聞いてくる。その度に気になる料理の方を指さして、アレ……と言うと、取り分けた筈なのにとにかく綺麗な盛り付けの皿を手渡してくるのだ。
そんなイリオーデにありがとうと告げると、彼は表情こそあまり変わらないもののかなり嬉しそうに頭を垂れる。大型犬みたいな人だ。
ディオとシャルは目を輝かせながら料理を楽しんでいて、メイシアとナトラは意外と仲良く二人で色んなテーブルを見て回っている。
シルフと師匠とリードさんはドリンクコーナーのような場所にいて、お酒やら紅茶やらを飲み比べているようだ。
各々が思い思いにこのパーティーを楽しむ中、皿をまた空にしてちょっと休もうと思った私は、イリオーデとシュヴァルツにそれぞ楽しんで来てと言って壁際の椅子に座っていた。
すると、ジュースの入ったグラスを二つ持ったマクベスタがやって来た。そのうち片方をこちらに渡し、「隣いいか?」と聞いてくる。
勿論いいわよと返すと、マクベスタは隣に座っておもむろに喋り始めた。
「なんじゃあの人間、アミレスに唾をつけおって……」
「浄化かぁ…………やってみようかな。ふふっ……聖人がこの扱いとか、ちょっといい気味だ」
「……む、どうしたんだディオ、イリオーデ、マクベスタ。石像のように固まって」
ポカーンと立ち尽くす私の周りで皆が騒ぎ出す。
リードさんによって念入りに浄化された私の手は何だか輝いている。しかしそんな事も気にならないぐらい、私の頭は突然の事にショートしていた。
──攻略対象やる程のイケメンにあんな事されて! 平気なわけないでしょう!!?
前世の自分の顔や名前や性格は全く覚えてないものの、異性やら恋愛関係に不慣れであった事は分かった。
も〜〜っ、ミカリアはあんな事ホイホイやるタイプじゃないでしょ! いくら私がフォーロイト帝国の王女だからって何してるのよまったく!! 心臓に悪いったらありゃしない!
♢♢♢♢
ミカリアが神殿都市に戻った数時間後。お城の一室にて私達はささやかな祝宴を楽しんでいた。
これはオセロマイト王が開いてくれた小規模なパーティーであり、参加者は私達とオセロマイト王とマクベスタ兄、そして突然快復した王妃である。
マクベスタもマクベスタ兄もオセロマイト王も王妃の快復を心から喜んでいて、私もなんだか嬉しくなった。
途中でマクベスタ達に囲まれる王妃と目が合う。私を見てハッと何か言いたそうな顔をした彼女に向け、私は口元に人差し指を当てて、しー。とする。
すると王妃はこくりと一度頷き何も言わない事を選んでくれたらしい。……恐らく彼女が言おうとした事はミカリアの事だろう。
あれはミカリアの優しさだ。ミカリアがこの場にいない以上、わざわざ掘り返すのも野暮だと思う。
「おねぇちゃん楽しんでる?」
「シュヴァルツ! ずっといなかったけどどこにいたの?」
色とりどりの料理を楽しんでいたらひょっこりとシュヴァルツが現れた。
シュヴァルツはまっすぐこちらを見上げて、
「すっごい疲れてたからずっと部屋で休んでたのぉ。あっそうだ! おかえりー、おねぇちゃん!」
と明るく笑った。ただいまと返して、私はシュヴァルツに何か食べたい物は無いかと尋ねた。
肉が食べたいと言ったシュヴァルツに、薄く切られた牛の肉をいくつか取り分けて渡す。シュヴァルツはたいへん美味しそうにそれを頬ばっていた。
私の皿が空になると、どこからとも無くイリオーデが現れて「何をご所望ですか」と聞いてくる。その度に気になる料理の方を指さして、アレ……と言うと、取り分けた筈なのにとにかく綺麗な盛り付けの皿を手渡してくるのだ。
そんなイリオーデにありがとうと告げると、彼は表情こそあまり変わらないもののかなり嬉しそうに頭を垂れる。大型犬みたいな人だ。
ディオとシャルは目を輝かせながら料理を楽しんでいて、メイシアとナトラは意外と仲良く二人で色んなテーブルを見て回っている。
シルフと師匠とリードさんはドリンクコーナーのような場所にいて、お酒やら紅茶やらを飲み比べているようだ。
各々が思い思いにこのパーティーを楽しむ中、皿をまた空にしてちょっと休もうと思った私は、イリオーデとシュヴァルツにそれぞ楽しんで来てと言って壁際の椅子に座っていた。
すると、ジュースの入ったグラスを二つ持ったマクベスタがやって来た。そのうち片方をこちらに渡し、「隣いいか?」と聞いてくる。
勿論いいわよと返すと、マクベスタは隣に座っておもむろに喋り始めた。