だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「それじゃあ王子サマ。今日も楽しく訓練しましょうか」
男達は一斉に木剣を振り上げて、猛禽類かのような鋭い瞳で笑う。そして男達は勢いよくそれを振り下ろした。
「──止まりなさい!」
しかし、その木剣はオレに猛威を振るう寸前で停止する。男達は突如訓練場に響いたその声に怯み、驚いていた。
それはオレも同じであった。その声はここ最近でよく耳にしている、あの少女の声だった──。
「ここは我が帝国が誇りし清廉にして高潔なる騎士団の訓練場! その場を汚すような騎士道精神に反する行いをするなど帝国騎士の恥と知りなさい!!」
大の大人達を相手に一切怯える様子も無く、その少女は堂々とした態度で言い放つ。
訓練場に似合わない可憐なドレス。陽光に照らされた銀色の波打つ髪は硝子のように煌めく。深き寒色の瞳は強い意志に満ちていた。
この場にいる誰もが、彼女が誰であるかを瞬時に理解した。例えこれまで一度も表舞台に立ってなかったのだとしても、間違える筈がない。
「──アミレス・ヘル・フォーロイト、王女殿下……?!」
男のうちの一人がわなわなと震えながら呟くと、男達は慌てて跪いた。
現在三人しかおられないフォーロイト帝国が皇族……そのうちの一人が、このような場に現れたのだ。帝国に仕える騎士ならば、跪かない方がおかしいというもの。
だがオレは跪けなかった。勿論そのつもりはあるのだが、彼女がここにいるという驚きのあまり体が思うように動かないのである。
「クッソ……ッ、何でこんな所に野蛮王女が現れるんだ!?」
「よりにもよってこのタイミングで!」
「いくら陛下と殿下に嫌われてるとは言え一応このガキも皇族だ、バレた以上不味い事になるかもしれん……!!」
「こうなったら何がなんでも雑魚王子に証言させるぞ!」
「所詮相手はロクな教育も受けてねぇ出来損ないだ、言い逃れなんて余裕だろ」
男達はアミレスに聞こえぬよう小声で会話していた。何と失礼な。何と愚かな。
この男達は何も分かっていない。アミレスという存在の一欠片も理解していない。にも関わらず知ったような口を聞くなんて。
許せない。初めてこの男達に怒りを覚えた。今すぐにでも殴りかかってしまいそうで、それを理性で何とか制する。
──その時だった。アミレスが威厳を漂わせて口を開いたのだ。
男達は一斉に木剣を振り上げて、猛禽類かのような鋭い瞳で笑う。そして男達は勢いよくそれを振り下ろした。
「──止まりなさい!」
しかし、その木剣はオレに猛威を振るう寸前で停止する。男達は突如訓練場に響いたその声に怯み、驚いていた。
それはオレも同じであった。その声はここ最近でよく耳にしている、あの少女の声だった──。
「ここは我が帝国が誇りし清廉にして高潔なる騎士団の訓練場! その場を汚すような騎士道精神に反する行いをするなど帝国騎士の恥と知りなさい!!」
大の大人達を相手に一切怯える様子も無く、その少女は堂々とした態度で言い放つ。
訓練場に似合わない可憐なドレス。陽光に照らされた銀色の波打つ髪は硝子のように煌めく。深き寒色の瞳は強い意志に満ちていた。
この場にいる誰もが、彼女が誰であるかを瞬時に理解した。例えこれまで一度も表舞台に立ってなかったのだとしても、間違える筈がない。
「──アミレス・ヘル・フォーロイト、王女殿下……?!」
男のうちの一人がわなわなと震えながら呟くと、男達は慌てて跪いた。
現在三人しかおられないフォーロイト帝国が皇族……そのうちの一人が、このような場に現れたのだ。帝国に仕える騎士ならば、跪かない方がおかしいというもの。
だがオレは跪けなかった。勿論そのつもりはあるのだが、彼女がここにいるという驚きのあまり体が思うように動かないのである。
「クッソ……ッ、何でこんな所に野蛮王女が現れるんだ!?」
「よりにもよってこのタイミングで!」
「いくら陛下と殿下に嫌われてるとは言え一応このガキも皇族だ、バレた以上不味い事になるかもしれん……!!」
「こうなったら何がなんでも雑魚王子に証言させるぞ!」
「所詮相手はロクな教育も受けてねぇ出来損ないだ、言い逃れなんて余裕だろ」
男達はアミレスに聞こえぬよう小声で会話していた。何と失礼な。何と愚かな。
この男達は何も分かっていない。アミレスという存在の一欠片も理解していない。にも関わらず知ったような口を聞くなんて。
許せない。初めてこの男達に怒りを覚えた。今すぐにでも殴りかかってしまいそうで、それを理性で何とか制する。
──その時だった。アミレスが威厳を漂わせて口を開いたのだ。