だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「それにしても。どうやら私《わたくし》の知る弱いとお前達の言う弱いは意味が違うようね」
「違う……?」
「お前達の言う弱いとは、格上の者に使う言葉のようだ」
「格上? 一体何を仰ってるのか…………」
「お前達の誰よりも彼の方が強い。見れば分かるでしょう?」
アミレスがちらりとこちらに視線を向ける。すると茶髪の男を始めとして、男達が笑い声を抑えて小さく肩を震わせる。
「何言ってんだこの王女……!」
「あのガキが俺達の誰よりも強いとかありえねぇだろ」
「他国の王子だから媚び売ってんじゃね?」
男達が小声でアミレスを嘲る。どこまでも愚かで救えない人間達だ。こんな者があの帝国の騎士だなんて……。
そんな呆れや失望よりもずっと、今はアミレスを愚弄した男達への怒りが強い。強く愛剣を握り締めたその時、アミレスがまたため息を一つ。
「…………はぁ。呆れたわ……帝国騎士ともあろう者が、他者を見かけだけで判断し侮るだなんて。私《わたくし》が全てを終わらせてもいいのだけれど……それだとお前達が付け上がってしまうものね。きちんと痛い目を見てもらおうかしら」
彼女は男達を見下して冷淡な微笑を浮かべた。その発言にビクリと肩を跳ねさせる男達を指さして、
「マクベスタ・オセロマイト、この不届き者達を全て制圧してみなさい。貴方なら余裕でしょう?」
アミレスは挑発的に告げた。つまり、これは……昨日の仕返しをしろと。そう言う事だろうか?
しかし、と躊躇うオレに向けてアミレスは王者の風格で更に続けた。
「この者達に遠慮し、昨日は大人しく攻撃を受け続けていたようだけれど……もうその必要は無いわ。剣を取りなさい、私《わたくし》が許します。貴方の実力と言うものを、そこの愚か者達に見せつけてやりなさい!」
男達が勢いよく顔を上げ、信じられないと言いたげな引き攣った表情でオレを見てくる。
本当にやってもいいものかと当惑し、男達とアミレスを交互に見ていると。アミレスがニヤリと笑って、
『思いっきりこいつ等の鼻っ柱へし折ってやって!』
と口をパクパクと動かしていた。
……どうしてこの場にアミレスがいるのか、昨日の怪我がこの男達によるものだと知るのか、それは未だに分からないが……王女殿下直々の許可を貰えたのだ。
やらなければならないな。まさかの展開に、口元に自然と笑みが浮かぶ。
アミレスが「ほら、お前達も立ちなさい。地に這いつくばっていては訓練にならないでしょう」と男達を立たせたので、オレは一度深呼吸をして木剣を構える。
「覚悟してください、騎士殿」
男達を見据え、そして地面を蹴って斬りかかる。相手は六人──あまりにも楽勝だった。
相手の攻撃など一つも食らわないし、オレの攻撃は全て相手に当たる。帝国の騎士……いや、このろくでもない男達が弱すぎるだけだろう。
完全に制圧する事に大した時間はかからず、男達はあっという間に地に伏せる事となる。子供であるオレに手も足も出なかった事で完全に自信を喪失したらしい。
その姿を見たアミレスが「マクベスタを馬鹿にするからいけないのよ。自業自得だわ」と呟き、
「ほら、彼に何か言う事があるのではなくて?」
男達にさっさと謝れと圧をかけると。男達はボロボロの体で渋々謝罪を口にした。
仕返しする事も出来て謝罪も受けられた。オレの心のわだかまりが無くなった事を確認し、アミレスは肩を撫で下ろしたようだった。
この後アミレスがこの男達の事をどうするのだろうかと疑問に思った時、機を見計らったかのように一人の男が現れた。
「違う……?」
「お前達の言う弱いとは、格上の者に使う言葉のようだ」
「格上? 一体何を仰ってるのか…………」
「お前達の誰よりも彼の方が強い。見れば分かるでしょう?」
アミレスがちらりとこちらに視線を向ける。すると茶髪の男を始めとして、男達が笑い声を抑えて小さく肩を震わせる。
「何言ってんだこの王女……!」
「あのガキが俺達の誰よりも強いとかありえねぇだろ」
「他国の王子だから媚び売ってんじゃね?」
男達が小声でアミレスを嘲る。どこまでも愚かで救えない人間達だ。こんな者があの帝国の騎士だなんて……。
そんな呆れや失望よりもずっと、今はアミレスを愚弄した男達への怒りが強い。強く愛剣を握り締めたその時、アミレスがまたため息を一つ。
「…………はぁ。呆れたわ……帝国騎士ともあろう者が、他者を見かけだけで判断し侮るだなんて。私《わたくし》が全てを終わらせてもいいのだけれど……それだとお前達が付け上がってしまうものね。きちんと痛い目を見てもらおうかしら」
彼女は男達を見下して冷淡な微笑を浮かべた。その発言にビクリと肩を跳ねさせる男達を指さして、
「マクベスタ・オセロマイト、この不届き者達を全て制圧してみなさい。貴方なら余裕でしょう?」
アミレスは挑発的に告げた。つまり、これは……昨日の仕返しをしろと。そう言う事だろうか?
しかし、と躊躇うオレに向けてアミレスは王者の風格で更に続けた。
「この者達に遠慮し、昨日は大人しく攻撃を受け続けていたようだけれど……もうその必要は無いわ。剣を取りなさい、私《わたくし》が許します。貴方の実力と言うものを、そこの愚か者達に見せつけてやりなさい!」
男達が勢いよく顔を上げ、信じられないと言いたげな引き攣った表情でオレを見てくる。
本当にやってもいいものかと当惑し、男達とアミレスを交互に見ていると。アミレスがニヤリと笑って、
『思いっきりこいつ等の鼻っ柱へし折ってやって!』
と口をパクパクと動かしていた。
……どうしてこの場にアミレスがいるのか、昨日の怪我がこの男達によるものだと知るのか、それは未だに分からないが……王女殿下直々の許可を貰えたのだ。
やらなければならないな。まさかの展開に、口元に自然と笑みが浮かぶ。
アミレスが「ほら、お前達も立ちなさい。地に這いつくばっていては訓練にならないでしょう」と男達を立たせたので、オレは一度深呼吸をして木剣を構える。
「覚悟してください、騎士殿」
男達を見据え、そして地面を蹴って斬りかかる。相手は六人──あまりにも楽勝だった。
相手の攻撃など一つも食らわないし、オレの攻撃は全て相手に当たる。帝国の騎士……いや、このろくでもない男達が弱すぎるだけだろう。
完全に制圧する事に大した時間はかからず、男達はあっという間に地に伏せる事となる。子供であるオレに手も足も出なかった事で完全に自信を喪失したらしい。
その姿を見たアミレスが「マクベスタを馬鹿にするからいけないのよ。自業自得だわ」と呟き、
「ほら、彼に何か言う事があるのではなくて?」
男達にさっさと謝れと圧をかけると。男達はボロボロの体で渋々謝罪を口にした。
仕返しする事も出来て謝罪も受けられた。オレの心のわだかまりが無くなった事を確認し、アミレスは肩を撫で下ろしたようだった。
この後アミレスがこの男達の事をどうするのだろうかと疑問に思った時、機を見計らったかのように一人の男が現れた。