だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「マクベスタ、顔赤いけど……大丈夫? もしかして騎士達に何かされてたの?!」
「い、いや違うんだこれは何でもないんだ。ほら特訓場に行こう、オレの所為で時間はとっくに過ぎてしまってるだろう」

 憂い顔のアミレスがこちらの顔を覗き込んでくる。顔が近くて何だか恥ずかしく……慌てて彼女の手を引いて特訓場に向かう。
 その後師匠とハイラさんにも感謝を告げ、オレはアミレスと共にいつも通り特訓に挑んだ。

 その次の日もそのまた次の日も。雨の降らない日はいつもアミレスと時間を共にしていた。どうせオレは放置されている身だ、どれだけアミレスと過ごそうと誰にも咎められない。
 勿論親善交流の使節としての役目も果たした。だがそういった時以外は本当にずっとアミレスと共に競い合い高め合って来た。
 アミレスは事ある毎に『マクベスタは誰よりも強くなるよ』『マクベスタは最強の剣士になる。私が保証するわ!』『貴方はもうとっくにうちの兄よりも強いから! もっと自信を持ってよ!』と褒め言葉をぶつけてくる。
 そんな訳無いだろうと否定しても、アミレスは確信めいた口調で押し切ってくる。
 それが何だかとても嬉しかったのだ……彼女にそこまで認められているのだと。期待してもらえているのだと。
 そうやって過ごすうちに、オレはいつしかアミレスの事ばかり考えるようになっていた。
 今頃あいつは何をしているだろうか、今日もあいつの剣筋は惚れ惚れするな、いつもあいつは元気だな……オレも見習わなければ、この戦法ならあいつの虚を衝く事が出来るかも、あいつは甘いものも好きだったよな、何で雨が降るんだ晴れろよ…………等々毎日アミレスの事ばかり考えるようになっていた。
 憂鬱だった帝国での滞在期間を色鮮やかに彩ってくれた彼女に、オレはもしかしたらずっと前から良き友人以上の感情を抱いていたのやもしれない。
 鈍すぎて馬鹿なオレはそれに気づく事も出来なかったようだが。
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