だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「し、師匠……前にも師匠の事を神の使徒とか言っちゃったよね、本当に重ね重ねごめんなさい……」
色々とやっちまったと理解した私はもう一度師匠に謝罪した。無知であるという事が免罪符になるかと問われれば、答えは否であると私は考える。
無知であろうとなかろうと、それが過ちや罪であると理解したのならきちんと償うべきだと思う。
無知である事そのものが恥なのではなく、無知であるが故に誤った発言や行動をしてしまう事が恥になるのではと私は思う。あくまでも自論だが。
だから私はきちんと謝りたい。間違った事をしたと自覚したのなら謝る。例え私が氷の血筋の人間であろうと、それが人として当然の事だと思うから。
……まぁ、この現帝国唯一の王女なんて立場の所為で、人前で軽率に謝る──頭を下げてはいけないんだけどね。威厳とか体裁がどうのって話らしい。
今はプライベートな場なので全然普通に謝るが……ここが公の場などであったならば謝る事は出来なかったかもしれない。
本当に窮屈な世界だよ、貴族社会って。
「え? あぁ、あの時の。別にいいっすよ、姫さんだから全然許しますとも」
師匠がニッと歯を見せて笑う。他の人間なら許さなかったけどな、なんて副音声が聞こえるような気もしなくは無いが、これはきっと私の歪んだ心の起こした幻聴だろう。師匠がそんな事言う筈がないもんね。
そんな歪んだ私の心は、師匠の明るくて眩しいその笑顔に浄化されるようだった。
そして来たる二十九日。私は前もってシルフとナトラに、日付けが変わる頃にちょっとマクベスタの所に行くと伝えていたので、日付けが変わる十分程前にはナトラとシルフと師匠と共に部屋を抜け出してマクベスタの部屋へと向かった。
ちなみに、相変わらずイリオーデが不寝番をすると言っていたのだが……師匠が『お前、ここ暫く寝てねぇだろ? ちゃんと寝ておかねぇといざと言う時体が動かせなくなるぜ』とその役目を変わったので、イリオーデは今頃ちゃんと休んでくれている事だろう。
イリオーデに限らず皆休みたいだろうし、マクベスタのお祝いは私一人で行くよ? と言ったのだが、『こんな夜中に一人で行かせる訳ないでしょ!(男の部屋に一人でなんて……っ!)』とシルフが過保護になったので一緒に行く事に。
別にもう無茶な事はしないしもし侵入者や刺客が現れてもちゃんと応戦するのになぁ…………本当にシルフは心配性だ。
なんて事を考えつつ、留守番は嫌だと言ったナトラと、シルフに巻き込まれた師匠と共にマクベスタの部屋の前まで歩いてゆく。
暫し懐中時計を眺め、そして日付が変わった瞬間。私はマクベスタの部屋の扉を叩いた。
「……ここまで来てから言うのもアレっすけど、マクベスタが寝てたらどうするんですか姫さん」
「…………その可能性は考えてなかったわ……」
「本当に変な所で詰めが甘いね、アミィは」
ここに来て師匠が不安になるような事を言い出した。確かに今夜中だし、真面目なマクベスタの事だもの……健康的に眠っていてもなんらおかしくは無いわ。
どうしよう、無駄足になったら。と不安になっていると部屋の扉がゆっくりと開かれて。
色々とやっちまったと理解した私はもう一度師匠に謝罪した。無知であるという事が免罪符になるかと問われれば、答えは否であると私は考える。
無知であろうとなかろうと、それが過ちや罪であると理解したのならきちんと償うべきだと思う。
無知である事そのものが恥なのではなく、無知であるが故に誤った発言や行動をしてしまう事が恥になるのではと私は思う。あくまでも自論だが。
だから私はきちんと謝りたい。間違った事をしたと自覚したのなら謝る。例え私が氷の血筋の人間であろうと、それが人として当然の事だと思うから。
……まぁ、この現帝国唯一の王女なんて立場の所為で、人前で軽率に謝る──頭を下げてはいけないんだけどね。威厳とか体裁がどうのって話らしい。
今はプライベートな場なので全然普通に謝るが……ここが公の場などであったならば謝る事は出来なかったかもしれない。
本当に窮屈な世界だよ、貴族社会って。
「え? あぁ、あの時の。別にいいっすよ、姫さんだから全然許しますとも」
師匠がニッと歯を見せて笑う。他の人間なら許さなかったけどな、なんて副音声が聞こえるような気もしなくは無いが、これはきっと私の歪んだ心の起こした幻聴だろう。師匠がそんな事言う筈がないもんね。
そんな歪んだ私の心は、師匠の明るくて眩しいその笑顔に浄化されるようだった。
そして来たる二十九日。私は前もってシルフとナトラに、日付けが変わる頃にちょっとマクベスタの所に行くと伝えていたので、日付けが変わる十分程前にはナトラとシルフと師匠と共に部屋を抜け出してマクベスタの部屋へと向かった。
ちなみに、相変わらずイリオーデが不寝番をすると言っていたのだが……師匠が『お前、ここ暫く寝てねぇだろ? ちゃんと寝ておかねぇといざと言う時体が動かせなくなるぜ』とその役目を変わったので、イリオーデは今頃ちゃんと休んでくれている事だろう。
イリオーデに限らず皆休みたいだろうし、マクベスタのお祝いは私一人で行くよ? と言ったのだが、『こんな夜中に一人で行かせる訳ないでしょ!(男の部屋に一人でなんて……っ!)』とシルフが過保護になったので一緒に行く事に。
別にもう無茶な事はしないしもし侵入者や刺客が現れてもちゃんと応戦するのになぁ…………本当にシルフは心配性だ。
なんて事を考えつつ、留守番は嫌だと言ったナトラと、シルフに巻き込まれた師匠と共にマクベスタの部屋の前まで歩いてゆく。
暫し懐中時計を眺め、そして日付が変わった瞬間。私はマクベスタの部屋の扉を叩いた。
「……ここまで来てから言うのもアレっすけど、マクベスタが寝てたらどうするんですか姫さん」
「…………その可能性は考えてなかったわ……」
「本当に変な所で詰めが甘いね、アミィは」
ここに来て師匠が不安になるような事を言い出した。確かに今夜中だし、真面目なマクベスタの事だもの……健康的に眠っていてもなんらおかしくは無いわ。
どうしよう、無駄足になったら。と不安になっていると部屋の扉がゆっくりと開かれて。