だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「一体誰……って、アミレス。それに師匠達も。こんな時間にどうしたんだ?」
中からは随分とラフな格好で前髪を下ろしているマクベスタが出て来た。
いつも前髪を上げて整えられている分、こうして無造作に下ろされている髪型はとても新鮮で……なんだかいつもより幼くも見えた。
っと。こんな呑気に感想を述べている場合ではない。私は後ろ手に隠していた木箱をマクベスタに向けて差し出して、お祝いの言葉を伝えた。
「誕生日おめでとう、マクベスタ!」
「──オレの、誕生日…………」
マクベスタはパチパチと何度かゆっくり瞬きをして、おずおずと木箱を受け取った。そして木箱に視線を落としながらボソリと呟いた。
「なんじゃ、誕生日とは」
するとナトラが私の袖を引いてそう尋ねてくる。竜には誕生日と言う概念が無かったのかもしれない。
「誕生日っていうのは自分が生まれた日の事よ。生きている間は毎年、また一つ歳を重ねたねってお祝いして貰える日なの」
「ふむ……じゃからあやつは贈り物を貰っておるのかえ。のぅアミレスよ、我の誕生日はいつじゃ?」
「えっ、いつだろう……」
ナトラが期待に満ちた目でこちらを見上げる。うーん、可愛い。ナトラの希望からツインテールに添えられた四色の花飾りも相まって、どこからどう見てもたいへん可愛らしい幼女だ。いや、最早花の妖精のようにも見えるぞ。
そんなナトラの期待には応えたい……が、本当に知らない。ナトラがいつ生まれなのかマジで知らない。この場合なんと答えたらよいのか……!!
そう困り果てていた時、シルフが助け舟を出してくれた。
「…ちなみにボクとエンヴィーは誕生日が無かったから、アミィと初めて会った日を誕生日にしてるよ」
「ほう? つまり我がアミレスと初めて会うた日……数日前を誕生日にすれば、贈り物を貰えるのじゃな?」
「まぁそう言う事かな。贈り物を貰えるのは来年以降のその日にだけどね」
シルフの助け舟のお陰もあって、ナトラの誕生日は初めて会った数日前……四月二十五日と言う事になった。
これにて一件落着と胸を撫で下ろした私であったが、ここで本題を思い出す。そもそもここに来たのはマクベスタの誕生日を祝いに来たのであって、決してナトラの誕生日を決める為に来た訳ではないという事を。
ナトラの誕生日も大事なのだけれど、とりあえず今一番大事なのは今日の主役だ。
慌ててマクベスタの方を向くと、マクベスタは細められた目で木箱を熱く見つめながら片手で口元を覆っていた。
中からは随分とラフな格好で前髪を下ろしているマクベスタが出て来た。
いつも前髪を上げて整えられている分、こうして無造作に下ろされている髪型はとても新鮮で……なんだかいつもより幼くも見えた。
っと。こんな呑気に感想を述べている場合ではない。私は後ろ手に隠していた木箱をマクベスタに向けて差し出して、お祝いの言葉を伝えた。
「誕生日おめでとう、マクベスタ!」
「──オレの、誕生日…………」
マクベスタはパチパチと何度かゆっくり瞬きをして、おずおずと木箱を受け取った。そして木箱に視線を落としながらボソリと呟いた。
「なんじゃ、誕生日とは」
するとナトラが私の袖を引いてそう尋ねてくる。竜には誕生日と言う概念が無かったのかもしれない。
「誕生日っていうのは自分が生まれた日の事よ。生きている間は毎年、また一つ歳を重ねたねってお祝いして貰える日なの」
「ふむ……じゃからあやつは贈り物を貰っておるのかえ。のぅアミレスよ、我の誕生日はいつじゃ?」
「えっ、いつだろう……」
ナトラが期待に満ちた目でこちらを見上げる。うーん、可愛い。ナトラの希望からツインテールに添えられた四色の花飾りも相まって、どこからどう見てもたいへん可愛らしい幼女だ。いや、最早花の妖精のようにも見えるぞ。
そんなナトラの期待には応えたい……が、本当に知らない。ナトラがいつ生まれなのかマジで知らない。この場合なんと答えたらよいのか……!!
そう困り果てていた時、シルフが助け舟を出してくれた。
「…ちなみにボクとエンヴィーは誕生日が無かったから、アミィと初めて会った日を誕生日にしてるよ」
「ほう? つまり我がアミレスと初めて会うた日……数日前を誕生日にすれば、贈り物を貰えるのじゃな?」
「まぁそう言う事かな。贈り物を貰えるのは来年以降のその日にだけどね」
シルフの助け舟のお陰もあって、ナトラの誕生日は初めて会った数日前……四月二十五日と言う事になった。
これにて一件落着と胸を撫で下ろした私であったが、ここで本題を思い出す。そもそもここに来たのはマクベスタの誕生日を祝いに来たのであって、決してナトラの誕生日を決める為に来た訳ではないという事を。
ナトラの誕生日も大事なのだけれど、とりあえず今一番大事なのは今日の主役だ。
慌ててマクベスタの方を向くと、マクベスタは細められた目で木箱を熱く見つめながら片手で口元を覆っていた。