だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……ねー、あるじさま」
「……マイ・ロード、すまない」

 物思いに耽けるボクに向けて、ロマンスドとルーディが口惜しげに呟いた。
 その声に引かれて二体の方を見上げると、

「そっちもかい、ロシー」
「……そっちも? ルー」

 ルーディとロマンスドは愛称で呼び合い軽く頷いていた。
 そして今度は猫《ボク》に目線を合わせるように片膝をつき、ルーディが語る。

「マイ・ロードよ。ワタクシめに奪えぬものなど無いと、そう豪語していましたが──たった今、出来たようだ。我等がエストレラの死の運命はあまりにも強く、酷く彼女という存在に刻まれている。まるで……そう、既に何千回も死んでいるかのように。彼女《エストレラ》には、今を生きる人間と思えない程に死が濃く付き纏っているようだ。それこそ、ワタクシめの権能をもってしても奪い切れぬ程に」

 それにボクとエンヴィーは目を見張った。何せルーディの権能は神やボクの許可さえあれば、ボク達の存在さえも容易に奪えるような凄まじい能力だ。
 そんな権能をもってしても奪い切れない程の強い死の運命が、アミィには待ち受けているのか? 何で、どうして?
 ボクの加護の影響では無く、その運命が強すぎて権能が意味を成さないなんて。そんな事があっていいのか?
 予想外の結果と報告に頭がぐわん、ぐわん、とおかしくなっていくようだ。しかしそこに更なる追い討ちがかけられる。

「……アタシも、同じ。あるじさまのお気に入りの、夢に干渉しようとして…………弾かれた。精神介入もほとんど同じ。たぶん、あるじさまの加護の影響じゃなくて、お気に入りの……本人の問題。アタシの権能でも、その子には精神干渉できない……みたい」

 ルーディに続きロマンスドまでもが権能の発動に失敗しただと? そんな馬鹿な。精神干渉を全て弾くなんて。
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