だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「あっ」

 暴れていた所為か、ドターンッ! と音を立てて後ろに倒れる椅子。いててて……と呟きながらゴロリと横方向に転がり、天井を仰いでぼーっとする。

「……まぁ、何とかなるっしょ。別にその人物だってミカリアのルート以外では重要人物じゃないだろうし」

 またもや事を楽観視した私は、考える事を止めた。するとその時扉が何度も叩かれて、

「大きい音しましたけど何かあったんすか!?」

 と師匠の声が同時に聞こえて来た。暴れすぎたわ…と思いながらも、先程ぶつけた背中や頭を擦りながら立ち上がり扉の方へ向かう。
 扉の向こうには師匠とシルフとイリオーデがいて、三人にちょっと椅子が倒れて……と状況を説明したら、シルフから耳が痛いぐらいお小言をプレゼントされた。
 そうやって、平和に平穏に空の旅は続く。リードさんにお別れを言えなかったのは残念だけど、また会おうって手紙に書かれていたわけだし……きっとまた必ず会えるだろう。
 とにかく私は、ようやく立てた今後の計画を無事達成する為に頑張らないと。頑張れ私、負けるな私!!

 数日後、帝国に着くとまず最初にディオとシャルとイリオーデを家まで送って行った。
 巻き込んでごめんね、私に着いて来てくれてありがとう。と謝罪とお礼を告げると、ディオが全然平気とばかりに「いいんだよ」と歯を見せて笑った。

 でも、きっと皆に心配かけちゃったし……と話しているとラークが現れて、『三人は王女殿下の護衛としてオセロマイト王国に遊びに行っている』と皆に嘘の説明をしていた事を明かしてくれた。その為か予想外にもズルいズルい! と私はメアリードとルーシアンとジェジに責められる事になったのだ。
 そしてそこで事件が起きる。エリニティが「メイッッッッッシアちゃぁああああああああん!!!!」と叫びながら、目をハートにしてメイシアの元へと向かっていったのだ。しまったッ!? と思った時には既に遅く、メイシアがエリニティに絡まれる事態に。

 くっ……私が不甲斐ないばかりに…………!!
 メイシアをエリニティから守りつつ、私はディオ達と「またね!」と別れてまずはシャンパージュ伯爵邸へと向かう。別れの際にメイシアに改めてお礼を言うと、「アミレス様のお力になれて何よりです」と彼女はふにゃりとはにかんだ。
< 491 / 1,370 >

この作品をシェア

pagetop