だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

15.十二歳になりました。3

 猫シルフ巨大化事件の五日後。私はお忍びで街に出掛けていました。理由としては、もうすぐ誕生日のマクベスタへと誕生日プレゼントを押し付けようと思っているからです。
 頼まれてもいなければ彼自身からその話を聞いた訳でもない私が突然プレゼントを渡した所で、きっと彼は戸惑うだけだろう。
 しかし私は祝いたいのだ。……ただでさえマクベスタは親元を離れ一人でこの国に滞在し続けているんだ。誕生日とて帰れない可能性が高いから、親に誕生日を祝って貰えなくなるかもしれない。
 そうなってしまった時用に、少しでもオセロマイトを思い出して心を安らげて貰えるようオセロマイト産の誕生日プレゼントでも贈ろうかな。と決めたのだ。
 そして私はいつもの特訓用の服によくあるローブを羽織り、髪の色をシルフに変えてもらって、こっそりと城を抜け出す事に成功しました。
 何せこの国で銀髪と言えば皇族の証とさえ言われる程なのだ。銀髪にこの寒色の瞳なんて……実質顔面フリーパスに近いもの。有名過ぎて一瞬で野蛮王女とバレてしまう。
 青い瞳は国民の中にも普通にいるので、要は髪の色さえ変わればいい。という事で、私はシルフに銀色以外の色に変えて! と頼み、現在私は桃色の髪になっている。……アミレスって、銀髪が似合い過ぎて銀髪以外があんまり似合わないのよね。まぁ仕方ないか。

 今日は特訓も授業もお休みの完全自由日。だからこそこうしてお忍びでの買い物に躍り出たという訳だ。
 中世西洋風の建築で溢れた街。大勢の人でごった返し、賑わいと活力で満たされている。
 城門まで一直線に続く一番大きな通りに出れば、当たり前のように馬車が行き交い、右を見ても左を見ても店があった。店の種類は様々で、飲食店に服屋に靴屋に宝石屋に新聞社まである。……この世界、新聞社あるの!? 凄いな全然知らなかった。
 あれはなんだろう、随分と大きい建物だけど……カジノかしら。あ、あれはお菓子屋さんね。美味しそう……はっ、涎を垂らしている場合じゃないわ。
 これらはまさに中世西洋モチーフの乙女ゲームらしき世界観。実に素晴らしいじゃないか!
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