だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
第一節・帝都動乱編

117.私兵団結成

 揺れる馬車の中、私は上機嫌に窓の外を眺めていた。
 視線の先には落ち着いた色合いの暖かい衣服に身を包んだ街の人達。
 オセロマイトの一件から早半年……季節は移り変わり今や十一月。フォーロイト帝国ではもうとっくに冬が始まっている。
 あの後、何だかよく分からないけれどこれからも帝国に滞在出来るようになったマクベスタ。彼はそれが決まり次第すぐさまシルフによる魔法の特訓を受け始め、その実力をメキメキ伸ばしている。

 そして、ディオ達にも教師がついた。ハイラが知り合いのキーラァさん(めっちゃ強い)を紹介してくれて、その人がディオ達に稽古をつけてくれているのだ。
 それが中々に地獄のトレーニングらしく、ディオ達の腕前の伸びっぷりたるや……はっきり言って異常な速度で急成長を遂げている。

 ちなみに、シャルには予定通り眼鏡をプレゼントした。ラークからシャルはよく物を失くすと聞いていたので、眼鏡が失くならないようにチェーンがついていて首に掛けれるタイプの物にして貰ったのだ。
 その為か、シャルの見た目だけは更にインテリになった。

 ナトラも人間社会での生活に慣れてきたようで、近頃はシュヴァルツと共に侍女服を着て侍女の真似事をするのがマイブームらしい。
 今まで全くやってこなかった分野だからこそ新鮮で楽しいのだとか。…………しかし何故シュヴァルツまで侍女服を着てるのか、それが私にはよく分からなかった。
 まぁ似合ってるんだけどね? めっちゃ可愛いんだけどね?

 さて。そんな皆が色々と頑張っている中私は何をしていたかといいますと。
 貧民街大改造計画の方を推し進めていた。様々な発注が済んだのは大体六月の頭とかで、そこから工事が始まったのだ。
 勿論貧民街の人達もこの強引な計画に最初こそ難色を示したが、ディオ達が説得を手伝ってくれたり、工事を手伝ってくれた人にはきちんとした日給を支払う事、そして毎日朝昼夜の三回炊き出しを行うと説明した所……やはり金と食べ物の力は偉大なり。貧民街の人達も割と受け入れモードに突入した。

 しかしこの計画の責任者だというのに、なんと私はほんの数回しか工事現地に行っていない。行こうとはしたのだが、私が行くと、この髪と瞳を見てやはり皆さんいい顔をしないのだ。
 だから、説明や建設予定地の指示などの本当に必要のある時しか工事現場には行かないようにしている。私が行っても石を投げられるだけだからねー……。
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