だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「アミレス様はどんなお姿であろうと勇ましく、まるで童話に聞く勇者や英雄の如くご活躍なされますよね。普段はお淑やかにヒールを履かれていらっしゃいますが、いざと言う時はそのまま戦ってしまう程に。ですがそれだと危険ですので、少しでも普段使いしやすく、且つヒールよりも安定するものを…………と考えた結果、こちらのブーツをお贈りする事にしたのです」

 言われてみれば、このブーツは今履いているヒールや普段履くヒールよりもヒール部分が大きくて安定しそうだ。
 このブーツであれば確かに普段使いもしやすく有事の際は動きやすそう…………めっちゃ実用的! え、本当にこんな凄そうなもの貰っちゃっていいの?!

「メイシア。これ本当に私が貰っていいの……?」
「勿論です! アミレス様にお贈りする事だけを考え、数ヶ月間お母さんとお父さんと相談しながら作り上げたのですから!!」
「伯爵達と相談して作ったの?!」
「はいっ! 二人共、アミレス様にお贈りする物と言う事で一切の妥協無くこれに取り組んでました」

 私の不安を吹き飛ばすメイシアの満面の笑み。あっさりと明かされる制作裏話。
 これはー……メイシアや伯爵夫人の事のお礼、って事でいい…………かな。これ以上はもう、なんか、受け取れないというか。受け取り辛いというか。もう十分というか。

 ひとまずこのブーツは有難く戴くとして、私は気を取り直してこのブーツを早速履いてみる事にした。何せこれから行く貧民街は細いヒールだと少し歩き辛いでこぼこの道ばかり。丁度、これを履くピッタリの理由となったのだ。
 新品だからまだ革が硬いが、何度も履けばこれは確かに最高の普段使いブーツになりそうだ。それぐらい安定しているし、思っていた以上に脱げにくい。
 見た目よりずっと軽いからか動きやすくもある。本当に素晴らしいなこれ!

「ありがとうメイシアっ、こんなにも素晴らしいブーツを……!!」
「アミレス様に喜んでいただけたのなら、わたし達としても最も喜ばしい事です」

 お礼を告げると、メイシアはほっとしたようにはにかみ、胸を撫で下ろした。
 そんなメイシアと共に私達はもう一度馬車に乗り込み、今度は貧民街を目指す。勿論制服を渡しに行く為だ。皆があれを見てどんな反応をするのか、今からとても楽しみだ。
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