だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「いや姫さんもまだ十二歳じゃん……」
「アミィ、自分の事は棚に上げてるね」
「ちょっとそこの精霊さん達お黙りっ」

 中々に痛い所を着いてくる精霊さん達に私はキツめの一言を放つ。
 だって仕方ないじゃない、私は王女なんだから。皇帝がいない今、その仕事を押しつけられる立場なのよ!
 そうやってぷんぷんと怒っていたのだが、

「王女様、全員着替え終わったから呼びに来たわよ」

 コンコンと馬車の扉を叩いて、クラリスが呼ぶ。そんな彼女を見て私は先程の怒りを一瞬で忘れたのだ。
 すっごい似合う。イケメン系美人のクラリスにすっごく似合ってる。まさかこんなにも着こなしてくれるなんて……胸元の膨らみが無ければ、あまりのかっこよさに男性だと思ってしまいそう。
 そんなクラリスと共に再度ディオの家に向かい、扉を開けると──

「……これで大丈夫でしょうか、王女殿下?」

 ──そこには、お揃いの制服に身を包む十人の男女がいた。
 うわ…………私の私兵達かっこよすぎ……?
 脳内でそんな風にふざけながら、私は少し緊張気味のイリオーデに向けて親指を立ててニッと笑う。

「皆すっごく似合ってるわよ!」

 皆の為に用意した甲斐があった! と、なんの迷いも無く口にした。
 その後、安堵や喜びで浮き足立つ皆に向けて、「ちょっと話があるんだけど……」と私は更に続ける。

「出来れば誰かに私兵団の団長をやって貰えたらなぁって思ってるんだけど、誰か団長やりたいって人いる?」

 しんっ……と静まる空間。やりたいと立候補してくれる人はいないようなので、「じゃあこの人にやって欲しい……みたいなのは、ある?」と改めて聞く。
 彼等彼女等はお互いに視線を送り合うと、一斉に一人を指さした。

「──俺?!」

 十人から推薦されたのはディオだった。自分以外の全員に指さされたディオはくわっ、と驚いた声をあげている。
 満場一致でディオが団長に推薦された。だがまぁ、こちらとしてもきっとそうなるだろうと思っていたので、特に驚きは無い。
 だがディオはまだ驚き困惑しているようで、くるりとイリオーデの方を向いて彼は焦ったように頬に冷や汗を浮かべて尋ねた。
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