だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「危ねぇ……あのゴミの汚いモンでここが汚される所だったぁ……」
ふぅ、と安心からため息を一つこぼすシュヴァルツ。
しかしそれも束の間、シュヴァルツは残りの男達に向けて天使の如き眩き笑みを作り、
「逃げられるなんて思うなよ、ゴミ共が」
悪魔のような、ドスの聞いた言葉を贈った。
それに男達は完全に戦意を喪失し、投降したのだが……ナトラは一人を除いて容赦なく侵入者を殴った。そして気絶した男達を山のように積み上げて、シュヴァルツがその上に座る。
唯一気絶を免れてしまった男は、シュヴァルツに見下される形で地面にひれ伏していた。その男の後ろで、まるで囚人を連行する看守かのように仁王立ちをするナトラ。
「ねぇ、今どんな気持ち? たかが侍女のガキ二人って侮って汚ぇ妄想してさぁ、その相手に為す術なくやられちゃって。どんな気持ちなの?」
積み上げられた力無く横たわる人間。その頂点で足を組み頬杖をつく少年…………堂に入ったその姿から発せられる威圧感に、地にひれ伏す男はかつてない恐怖を覚えていた。
(なんなんだよこのガキ共……っ! 化け物だ、なんでこんな化け物が嫌われ者の野蛮王女の所にいるんだよ!! こんな筈じゃなかったのにッ、なんで俺はこんな仕事を受けちまったんだ…………ッ!!!!)
震え縮こまる体で男は後悔した。この仕事を依頼して来た者の手引きで皇宮への侵入も撤退も完璧、噂の野蛮王女を殺したら後は何をしてもいいと言われていたこの仕事……確かに余裕であるかに思えた。
しかし実際には皇宮から滅多に出ないと噂の野蛮王女が東宮のどこにもおらず、代わりにいたのは二人の侍女服の子供だけ。
だがその二人があまりにも、まるで化け物かのように強く……男達は誰一人として抵抗も出来ず地に沈められた。
そしてその子供のうちの一人は、今や明らかに子供の風格ではないそれで、男を愉しげに見下している。
「……ま、いっか。それじゃあ拷問……じゃなくてぇ、尋問始めよっか! ぼくの質問に嘘偽りなく答えてね? 嘘ついたその瞬間にお前の目ェ抉るから」
「ひぃぃいいいっ?!」
シュヴァルツの発言に男は情けない叫び声を上げた。それにナトラが「五月蝿い、黙れ」と吐き捨てるように反応し、男は更なる緊張状態へと追いやられる。
そして尋問は始まった。手馴れた口調、会話運びで少年は次々に欲しい情報を男から引き出していった。
その時の少年の金色の瞳は。獣を惑わす満月のように、強く妖しく、光り輝いていた──。
ふぅ、と安心からため息を一つこぼすシュヴァルツ。
しかしそれも束の間、シュヴァルツは残りの男達に向けて天使の如き眩き笑みを作り、
「逃げられるなんて思うなよ、ゴミ共が」
悪魔のような、ドスの聞いた言葉を贈った。
それに男達は完全に戦意を喪失し、投降したのだが……ナトラは一人を除いて容赦なく侵入者を殴った。そして気絶した男達を山のように積み上げて、シュヴァルツがその上に座る。
唯一気絶を免れてしまった男は、シュヴァルツに見下される形で地面にひれ伏していた。その男の後ろで、まるで囚人を連行する看守かのように仁王立ちをするナトラ。
「ねぇ、今どんな気持ち? たかが侍女のガキ二人って侮って汚ぇ妄想してさぁ、その相手に為す術なくやられちゃって。どんな気持ちなの?」
積み上げられた力無く横たわる人間。その頂点で足を組み頬杖をつく少年…………堂に入ったその姿から発せられる威圧感に、地にひれ伏す男はかつてない恐怖を覚えていた。
(なんなんだよこのガキ共……っ! 化け物だ、なんでこんな化け物が嫌われ者の野蛮王女の所にいるんだよ!! こんな筈じゃなかったのにッ、なんで俺はこんな仕事を受けちまったんだ…………ッ!!!!)
震え縮こまる体で男は後悔した。この仕事を依頼して来た者の手引きで皇宮への侵入も撤退も完璧、噂の野蛮王女を殺したら後は何をしてもいいと言われていたこの仕事……確かに余裕であるかに思えた。
しかし実際には皇宮から滅多に出ないと噂の野蛮王女が東宮のどこにもおらず、代わりにいたのは二人の侍女服の子供だけ。
だがその二人があまりにも、まるで化け物かのように強く……男達は誰一人として抵抗も出来ず地に沈められた。
そしてその子供のうちの一人は、今や明らかに子供の風格ではないそれで、男を愉しげに見下している。
「……ま、いっか。それじゃあ拷問……じゃなくてぇ、尋問始めよっか! ぼくの質問に嘘偽りなく答えてね? 嘘ついたその瞬間にお前の目ェ抉るから」
「ひぃぃいいいっ?!」
シュヴァルツの発言に男は情けない叫び声を上げた。それにナトラが「五月蝿い、黙れ」と吐き捨てるように反応し、男は更なる緊張状態へと追いやられる。
そして尋問は始まった。手馴れた口調、会話運びで少年は次々に欲しい情報を男から引き出していった。
その時の少年の金色の瞳は。獣を惑わす満月のように、強く妖しく、光り輝いていた──。