だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「のぅ、アミレス。いい加減それが誰からの手紙で何と書かれたものなのか、我にも教えてくれんか? もう半年近くずっと内緒じゃぞ」
「うーん……話せるのなら私も話したいんだけど、やっぱり難しいというか。まぁ、その内時が来たら話すわね」
「それ永遠に話してくれぬやつじゃな? エンヴィーより聞いたぞ、それは結局話さない奴の常套句じゃと」
「あはは。ちゃんとその内…話せそうだったら話すわよ?」
「むぅ…………」
ナトラが不満とばかりに頬を膨らませ、唇を尖らせた。
しかしこれは本当に話せるかどうかも分からない手紙なのだ。それは何故か──これは、カイル・ディ・ハミルからの手紙だから。
オセロマイトから帰って来た二日後とかに突然皇宮に現れた差出人不明の手紙。送り先がアミレス・ヘル・フォーロイトという事以外の情報はゼロに近く、誰もが首を傾げ何かの罠なのではと怪しんでいた。
しかし私はハイラにその謎の手紙を見せて貰った時、一瞬で全てを理解した。
差出人不明と言っていたが、正確には、誰もその文字を読めなくて差出人不明となっていたのだ。だが、私だけはそれを読めた。
日本語で書かれた、『カイル・ディ・ハミル』という文字列を。
ハイラに無理を言ってその手紙を受け取り、内容を見て私は愕然とした。カイルも私同様、この世界がアンディザの世界だと知る元日本人の転生者で、気がついたらカイルになっていたと。
カイルは私がオセロマイトを救った中心人物である事から同じ転生者であると推測し、こうしてコンタクトを取って来たのだとか。
そんなカイルはこれまで自分が行って来た事や行動理念、そしてこの先の目的等を手紙に綴っていた。
カイルは語る──この世界をめいいっぱい楽しみたい。ゲームに縛られず、自由に面白おかしい人生を送りたい。と……。
私とは全然違う方向を見ているようで、ゲームに縛られたくないという点においては私も彼も同じ方向を見ているようだった。
だからこそ、彼が言う『協力関係』というものを築こうと、追伸に書かれていた方法でもって私は日本語で書いた返事を送った。
本当に返事が送れるのかと心配だったけれど、そこは流石チートオブチートのカイルに転生したオタクと言えよう。
付属の小さな魔法陣の上に手紙を置いて、規定の合言葉を唱えると手紙がカイルの元に転送される仕組みになっているらしい。
……カイルからの手紙で見て驚いたのだが、なんとカイルは独学で魔導具や魔導兵器《アーティファクト》を作っているらしく、この手紙もオセロマイトへの支援も全てその自慢のサベイランスちゃんとやらで行っていたようなのだ。
カイルから来た二回目の手紙に便箋三枚に及ぶサベイランスちゃんの話が所狭しと綴られていて、カイルが相当エンジョイしている事が見て取れた。
そんな感じで、私達は度々手紙を交わすメル友…………文通友達略して文友になったのだ。気分としてはネットでやり取りをする相互さんに近い。
便箋に目を通していると、最後の追伸に私の目は留まった。
「うーん……話せるのなら私も話したいんだけど、やっぱり難しいというか。まぁ、その内時が来たら話すわね」
「それ永遠に話してくれぬやつじゃな? エンヴィーより聞いたぞ、それは結局話さない奴の常套句じゃと」
「あはは。ちゃんとその内…話せそうだったら話すわよ?」
「むぅ…………」
ナトラが不満とばかりに頬を膨らませ、唇を尖らせた。
しかしこれは本当に話せるかどうかも分からない手紙なのだ。それは何故か──これは、カイル・ディ・ハミルからの手紙だから。
オセロマイトから帰って来た二日後とかに突然皇宮に現れた差出人不明の手紙。送り先がアミレス・ヘル・フォーロイトという事以外の情報はゼロに近く、誰もが首を傾げ何かの罠なのではと怪しんでいた。
しかし私はハイラにその謎の手紙を見せて貰った時、一瞬で全てを理解した。
差出人不明と言っていたが、正確には、誰もその文字を読めなくて差出人不明となっていたのだ。だが、私だけはそれを読めた。
日本語で書かれた、『カイル・ディ・ハミル』という文字列を。
ハイラに無理を言ってその手紙を受け取り、内容を見て私は愕然とした。カイルも私同様、この世界がアンディザの世界だと知る元日本人の転生者で、気がついたらカイルになっていたと。
カイルは私がオセロマイトを救った中心人物である事から同じ転生者であると推測し、こうしてコンタクトを取って来たのだとか。
そんなカイルはこれまで自分が行って来た事や行動理念、そしてこの先の目的等を手紙に綴っていた。
カイルは語る──この世界をめいいっぱい楽しみたい。ゲームに縛られず、自由に面白おかしい人生を送りたい。と……。
私とは全然違う方向を見ているようで、ゲームに縛られたくないという点においては私も彼も同じ方向を見ているようだった。
だからこそ、彼が言う『協力関係』というものを築こうと、追伸に書かれていた方法でもって私は日本語で書いた返事を送った。
本当に返事が送れるのかと心配だったけれど、そこは流石チートオブチートのカイルに転生したオタクと言えよう。
付属の小さな魔法陣の上に手紙を置いて、規定の合言葉を唱えると手紙がカイルの元に転送される仕組みになっているらしい。
……カイルからの手紙で見て驚いたのだが、なんとカイルは独学で魔導具や魔導兵器《アーティファクト》を作っているらしく、この手紙もオセロマイトへの支援も全てその自慢のサベイランスちゃんとやらで行っていたようなのだ。
カイルから来た二回目の手紙に便箋三枚に及ぶサベイランスちゃんの話が所狭しと綴られていて、カイルが相当エンジョイしている事が見て取れた。
そんな感じで、私達は度々手紙を交わすメル友…………文通友達略して文友になったのだ。気分としてはネットでやり取りをする相互さんに近い。
便箋に目を通していると、最後の追伸に私の目は留まった。