だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
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「うお、もう返事来た……今日は忙しくない日みたい……ってなんだこれ」

 サベイランスちゃんの調整をしていた所、俺の机の上にアイツからの返事がもう送られて来た。
 同じ転生者であるアミレス・ヘル・フォーロイトにコンタクトを取り、協力関係となって手紙を送り合うようになり早半年。
 アミレスは俺と違ってめちゃくちゃに忙しいようで、返事がすぐに来る事もあれば一週間とか二週間とか来ない事もままある。今回は前者だったようだ。

「おすそ分けねぇ……クッキーじゃん。えっ、うっま何これ?! アイツいつもこんなうめぇモン食ってんの? いいなぁ!!」

 アミレスからの返事と共に送られて来たハンカチを開くと中には数枚のクッキーが包まれていた。それを手に取り頬張ると、想像以上に美味くて俺はつい、叫んでしまった。
 ありがたく食べなさいってわざわざメモを付けるだけはある……ッ、何だこのクッキー超うめぇ。
 帝国っつったら西側諸国の経済の中心みたいなモンだからな…やっぱこんだけ美味いクッキーも普通に流通してるんだろうな。

「……それなのに俺と来たら……未だに軟禁状態(笑)って……はぁ、早く味方のいる帝国に行きてぇなぁ。俺もマクベスタに会いてぇなぁ」

 ガックリと項垂れて現状に嘆き、またクッキーを頬張る。
 次はこのクッキー缶ごとないし箱ごと送ってくれって頼もう。この濃い味……いいねぇ、なんか舌によく馴染む味。マジでファンになりそう。
 クッキーを食べながらアミレスによる返事に目を通す。アミレスは本来《ゲーム》のアミレスと全く違う性格で(転生者だから当然なのだが)、文面上のやり取りだけでもかなりのおもしれー女だと分かった。
 だからこそアイツに会ってみたいと思い、帝国に行けるよう日々頑張っている。まぁアイツだけじゃなくてマクベスタに会いたいってのもあるけどな。
 何を隠そう、俺はアンディザだとマクベスタ最推しなのである。だってめちゃくちゃかっけーじゃんマクベスタ。あれは男でも惚れるだろ。
 ……なんか言い訳してるみたいだな、これ。ほんとにただ単純にマクベスタがかっけーから好きなんだよなぁ、男が惚れるタイプの男なんだよマクベスタは。
 仲間(アミレス)推し(マクベスタ)に会う為に俺は日々努力していると言っても過言ではない。

「え、クレメンスって古いの? マジで?!」

 アミレスからの冷静な指摘に俺は震えた。そうか……クレメンスってもう古いのか…………。

「ふっ……空は今日も青いな──」

 オタク仲間に突然梯子を外された気分の俺は、とても虚しくなって来たので空を見上げ黄昏た。
 くそぅ、時の流れ残酷過ぎるだろ!!
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