だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
(…………詳しい話は、また後にしよう。家族も村の人達も皆殺しにされたんだ、その上生きている可能性のある弟が行方不明なんて……子供には耐えられまい)
(まだ暫く時間を置く必要がありそうだな、とりあえずエルハルト君の捜索を始めておこう)
(ああ、頼んだ)
騎士達が小声で話す。ある程度の方針を決めた所で、騎士達は『おじさん達は一旦仕事に行くから、何かあったら気軽に呼んでくれ』と言い残しアルベルトを一人にしてあげる事にした。
砦の中、アルベルトの休む部屋より離れた場所で騎士達は話す。
『……なぁ、この件についてどう思う。あの通報……闇の魔力の暴走なんてものが本当に起きたと思うか?』
『結局それを報せた老人とやらも、辺りを探しても見つからなかったからな。エルハルト君……が本当に行方不明なら、その通報者の老人が連れて行った可能性が…………』
『もしもだ。もし、エルハルト君が闇の魔力を持っていて、それが暴走してあの村の人達を皆殺しにしたのなら──』
『……我々は、アルベルト君の弟を捕まえねばならない』
『クソっ…………ただでさえ酷い目に遭ったってのに、これ以上あんな子供に苦痛を味わえってのかよ……!』
『仕方ないだろう、それが私達の仕事なのだから』
やるせない面持ちで話す騎士達。
闇の魔力とは希少属性に類する魔力であり、その主な力は精神破壊。人間性を破壊する事も可能な恐ろしい魔力……それが闇の魔力だ。
闇の魔力を持つ者は幼い頃より厳しい魔力操作の訓練を受けなければならないとされる所以であった。しかしこのような地方の村でそのような訓練を受けられる筈もない。
アルベルトとエルハルトは兄弟二人揃って闇の魔力を持っていたのだが……今まで不思議とそれが暴走した事は無かった。
しかし。そのツケが回って来たかのように、アルベルトの精神崩壊によって魔力暴走が誘発された。
闇の魔力を用いた他者の殺害はフォーロイト帝国において重罪に問われる事柄であり、一部を除いた村の死体は全てがその精神を破壊され死に至った。
その有様と『闇の魔力が暴走した』という謎の通報から、騎士達は行方不明となっているエルハルトが闇の魔力を持ち、それが暴走したが故に姿を眩ませている──と考えたのだ。
当たらからずも遠からず。エルハルトも確かに闇の魔力を持ってはいるものの、今回のそれはアルベルトの仕業であった。
だがアルベルトにはその自覚が無い。それが、この問題を難解さを助長するのであった。
(まだ暫く時間を置く必要がありそうだな、とりあえずエルハルト君の捜索を始めておこう)
(ああ、頼んだ)
騎士達が小声で話す。ある程度の方針を決めた所で、騎士達は『おじさん達は一旦仕事に行くから、何かあったら気軽に呼んでくれ』と言い残しアルベルトを一人にしてあげる事にした。
砦の中、アルベルトの休む部屋より離れた場所で騎士達は話す。
『……なぁ、この件についてどう思う。あの通報……闇の魔力の暴走なんてものが本当に起きたと思うか?』
『結局それを報せた老人とやらも、辺りを探しても見つからなかったからな。エルハルト君……が本当に行方不明なら、その通報者の老人が連れて行った可能性が…………』
『もしもだ。もし、エルハルト君が闇の魔力を持っていて、それが暴走してあの村の人達を皆殺しにしたのなら──』
『……我々は、アルベルト君の弟を捕まえねばならない』
『クソっ…………ただでさえ酷い目に遭ったってのに、これ以上あんな子供に苦痛を味わえってのかよ……!』
『仕方ないだろう、それが私達の仕事なのだから』
やるせない面持ちで話す騎士達。
闇の魔力とは希少属性に類する魔力であり、その主な力は精神破壊。人間性を破壊する事も可能な恐ろしい魔力……それが闇の魔力だ。
闇の魔力を持つ者は幼い頃より厳しい魔力操作の訓練を受けなければならないとされる所以であった。しかしこのような地方の村でそのような訓練を受けられる筈もない。
アルベルトとエルハルトは兄弟二人揃って闇の魔力を持っていたのだが……今まで不思議とそれが暴走した事は無かった。
しかし。そのツケが回って来たかのように、アルベルトの精神崩壊によって魔力暴走が誘発された。
闇の魔力を用いた他者の殺害はフォーロイト帝国において重罪に問われる事柄であり、一部を除いた村の死体は全てがその精神を破壊され死に至った。
その有様と『闇の魔力が暴走した』という謎の通報から、騎士達は行方不明となっているエルハルトが闇の魔力を持ち、それが暴走したが故に姿を眩ませている──と考えたのだ。
当たらからずも遠からず。エルハルトも確かに闇の魔力を持ってはいるものの、今回のそれはアルベルトの仕業であった。
だがアルベルトにはその自覚が無い。それが、この問題を難解さを助長するのであった。