だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
(ああ、これで、ようやくエルが見つかるんだ……!)
アルベルトは強く感謝した。弟と再会出来ると未来を信じ、喜んでいた。
──しかし。それはぬか喜びとなる。男はこの後アルベルトを騙して隷従の首輪を嵌め、そして一年以上自身の欲求発散が為にアルベルトに様々な事を行わせた。
それは犯罪のオンパレード。アルベルトの精神をどんどん摩耗させてゆく程の大罪ばかり。
どれだけアルベルトがそれを拒否しても、隷従の首輪の所為でそれは叶わない。
ある時アルベルトが闇の魔力を持つと知った男は、これ幸いとばかりにより一層犯罪行為にのめり込んだ。いとも容易く行われる、目も当てられないような無惨な行為の数々。
闇の魔力で隠密行動や証拠隠滅等が可能であったアルベルトは、当然のようにそれらの悪事の片棒を担がされた。
何度も何度も自らの心を闇の魔力で壊してしまおうと考えたアルベルトであったが、ただ一つ、『エルに会いたい』というその願いの為に何とか耐えて来た。
「……エル……こんな兄ちゃんで、ごめんな……」
──だが、もう、限界だ。
男の悪趣味な連続殺人計画。意味深に置かれたトランプはただいたずらに世間を怯えさせる為だけに置かれたものであり、被害者の選定基準はアルベルトが認識出来るようにと赤髪の人間を選んだだけに過ぎない。
そう、この事件にはなんの意味も無い。ただあの悪趣味な男が自分の欲を満たす為だけにアルベルトを顎で使った、最悪の殺人事件なのだ。
男はこの事件が終われば今度こそ弟を見つけてやると、もう何度目かも分からない言葉《エサ》をアルベルトに与えた。だがもうアルベルトの心は限界であった。
擦り切れ崩壊する寸前で、何とかエルハルトへの思いで耐えているだけに過ぎない。もしまた崩壊し暴走したならば──今度こそ、彼は死に至るだろう。
「……だれっ……か…………たす、けて……っ」
涙を流し、アルベルトは泡のように消えてしまいそうな声で言紡いだ。
それは、誰かの醜悪な欲望によって悪へと仕立てあげられた、悲しき殺人鬼の心からの叫びであった───。
アルベルトは強く感謝した。弟と再会出来ると未来を信じ、喜んでいた。
──しかし。それはぬか喜びとなる。男はこの後アルベルトを騙して隷従の首輪を嵌め、そして一年以上自身の欲求発散が為にアルベルトに様々な事を行わせた。
それは犯罪のオンパレード。アルベルトの精神をどんどん摩耗させてゆく程の大罪ばかり。
どれだけアルベルトがそれを拒否しても、隷従の首輪の所為でそれは叶わない。
ある時アルベルトが闇の魔力を持つと知った男は、これ幸いとばかりにより一層犯罪行為にのめり込んだ。いとも容易く行われる、目も当てられないような無惨な行為の数々。
闇の魔力で隠密行動や証拠隠滅等が可能であったアルベルトは、当然のようにそれらの悪事の片棒を担がされた。
何度も何度も自らの心を闇の魔力で壊してしまおうと考えたアルベルトであったが、ただ一つ、『エルに会いたい』というその願いの為に何とか耐えて来た。
「……エル……こんな兄ちゃんで、ごめんな……」
──だが、もう、限界だ。
男の悪趣味な連続殺人計画。意味深に置かれたトランプはただいたずらに世間を怯えさせる為だけに置かれたものであり、被害者の選定基準はアルベルトが認識出来るようにと赤髪の人間を選んだだけに過ぎない。
そう、この事件にはなんの意味も無い。ただあの悪趣味な男が自分の欲を満たす為だけにアルベルトを顎で使った、最悪の殺人事件なのだ。
男はこの事件が終われば今度こそ弟を見つけてやると、もう何度目かも分からない言葉《エサ》をアルベルトに与えた。だがもうアルベルトの心は限界であった。
擦り切れ崩壊する寸前で、何とかエルハルトへの思いで耐えているだけに過ぎない。もしまた崩壊し暴走したならば──今度こそ、彼は死に至るだろう。
「……だれっ……か…………たす、けて……っ」
涙を流し、アルベルトは泡のように消えてしまいそうな声で言紡いだ。
それは、誰かの醜悪な欲望によって悪へと仕立てあげられた、悲しき殺人鬼の心からの叫びであった───。