だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

125.悪友は巡り会う。2

「──待たせたなぁ!」

 魔法陣から一人の男が現れる。光り輝く魔法陣に照らされてよく見える、朱色の髪。謎の箱を手にその男はニヤリと笑った。

「カイ、ル……っ?!」
「こっから先は俺に任せろよ、アミレス。状況はもち把握済みだからな」

 殺人鬼と女の子の間に着地したカイルはこちらを一瞥し、そして殺人鬼に蹴りを一発入れた。
 腹に重い蹴りを入れられた殺人鬼は後方に飛ばされ、よろめきながら立ち上がる。
 ──目の前に、ゲームで幾度となく見たあの男がいる。チートオブチートと称されたアンディザ無印の誇る、メインヒーローが……!

「……来るなって言ったのに。何で来たのよこの馬鹿」
「何だとぉ? 虫の知らせを感じたから文字通り飛んで来てやったってのに」

 どうしようも無い安心感が妙にムカつくので、それを紛らわす為に悪態をつく。カイルは手紙のやり取りで感じた通りの人柄だった。
 ノリがいいと言うか、気前がいいと言うか。こうして話の通じる仲間と会えた事がこんなにも嬉しい事だなんて。
 恐怖と寒さから震える女の子にマントをかけてあげて、私はカイルに向けて告げる。

「この子は私が守るから、そっちは頼むわよ。死んだら承知しないから!」
「ふはっ、誰がこんなとこで死ぬかっての」

 煽るようにそう答えたカイルは、手元の箱を恋人に触れるように撫でた。慈しむような敬愛するかのような瞳でそれを見つめ、彼は呟く。

「さぁいくぜ、サベイランスちゃん」
《星間探索型魔導監視装置、仮想起動。システムコード簡略、魔導変換開始》

 カイルの言葉に呼応するかのように手元の箱が光り瞬き、謎の機械音声を発する。それはカイルの声を元に調整されたかのような、中性的な音声だった。
 そして謎の箱はその姿を変える。それはまるでかつて見た電子機器、なんとかパッド……その真上に何色もの魔法陣が球体を描くように重なって浮かぶ。
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