だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 いや何それ? え、まってかっこよ!! てか今サベイランスちゃんって言ったわよね……じゃあ本当にあの箱が例のサベイランスちゃん?!
 あれがカイルの自作の魔導具って事……? あんなやたらと凄そうなものをカイルが作ったって事? チートオブチートに転生したオタク怖っ。

「よっしゃあっ、記念すべき俺達の初陣だ!」

 カイルの楽しそうな表情と声音に、殺人鬼が怯んだように後退る。しかしカイルはそんなのお構い無しで何かとんでもない事を始めてしまった。

《事前指定、目次参照……完了。魔力槽、充填完了。対人・対魔捕縛術式、構成完了。対象補足──完了。絶対捕縛魔法、起動》

 雪が強くなって来た頃、静かな夜の街に不似合いな機械音声が響く。
 サベイランスちゃんが絶対捕縛魔法……とやらの起動を告げると同時に、殺人鬼の周りを取り囲むように無数の銀色の魔法陣が出現し、そこから鎖が飛び出る。

「ぜってー逃がさねぇからな、殺人鬼ィ!」
「ッ?!」

 殺人鬼が逃げようとした時には既に手遅れであった。銀色の鎖が何重にも殺人鬼に絡みつき、やがて身動きを取れなくなる。
 カイルは何と僅か数分のうちにあの強い殺人鬼を捕縛してしまったのだ。
 え、えーーーーーーーーー? そんな簡単に捕まえられていいの? いやそもそも何よ絶対捕縛魔法って。

「……あの、カイルさん。色々と質問いいかしら」
「何かねアミレスさん。サベイランスちゃんの事なら大いに結構、何でも答えてやろう」

 満足気にサベイランスちゃんを停止させているカイルに向け、私は質問を投げかける。

「今の、何?」
「何ってそりゃ、絶対捕縛魔法だけど」

 カイルはこてんと首を傾げ、知らねぇの? とばかりにサラッと答えた。
 答えになってない。そもそもそれが何かを聞いてるんだよ私は!!
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