だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 闇の魔力は精神干渉系と言われる魔力とはまた別のジャンルで、精神への細かな干渉は不可能だがその精神そのものを破壊する事に長けた魔力……とゲームと授業で聞いた。
 それと同時に、器用な人は影を操る事が出来るとかで影の世界という亜空間に色々仕込んだり出来るらしい。

 そんな闇の魔力を使えば、自身の負の感情を他者に押し付ける事も出来る、みたいな事をゲームでサラが言っていた。逆も然りで他者の負の感情を自分が引き受ける事も出来るとか。
 だからその技を使って私に辛い思いを押し付ければいいと。そう提案したのだが、アルベルトは乗り気ではなかった。

「…………駄目、です。これは、俺が背負わなきゃいけない……苦しみだから。目を逸らしちゃいけない、俺の、罪だから」
「……そう。本当に限界だ、って思った時は言いなさい。下手な相手に押し付けて精神破壊するよりかは、私ぐらい頑丈な人間に押し付けた方が穏便に事が済むでしょう」

 アルベルトは小さく、こくりと頷いた。
 無理強いをするつもりはない。だが、いざと言う時の逃げ道を用意するぐらいはしておきたかった。それがあるのと無いのとでは気の持ちように差が出るものだから。
 さて、これからどうしたものかと顎に手を当てて考えていると。遠くの方から見知った人影がこちらに向け走って来て。
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