だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
♢♢
遡る事十分程前。
アミレスがアルベルトより事情を聞いていた頃、マクベスタ、エンヴィー、イリオーデの三人がアミレスの水鉄砲《ウォーターガン》を認識して合流し、道中で検問に引っかかっていた。
それもその筈。やたらと見目のいい男三人(うち一人は他国の装束を着ている)がこんな夜中に急いで何処かに向かう様子であれば、流石の警備隊とて声を掛けるだろう。
それなのに騎士のような風体の赤髪の美丈夫は今にも剣を抜きそうな威圧感を放つし、もう一人の赤髪のイケメンは露骨に不機嫌なのが分かる上になんか凄い熱気を放ってくる。周りの雪が溶けるレベルで。
もうヤダー! と恐怖に震えつつも警備隊は何とか検問を行い、唯一礼儀正しかったマクベスタの『寒い中、お疲れ様です(でも今はやめて欲しかったな……)』と言う言葉に感動したとか。
「一体何があったんだろうか……もしや本当に不審者を見かけたとか?」
「姫さんなら既に戦うぐらいしてそーだけどな」
「……王女殿下なら有り得る」
そうやって、呼び出しの意味を考えながら三人は雪の上を爆走していた。やっとの思いでアミレスの元まで駆けつけた三人は、アミレスが殺人鬼を一人で相手取りやがて鎖でぐるぐる巻きにしたのだと勘違いした。
普通ならそんな勘違いしないが、アミレスだと普通にやりかねないので勘違いしてしまったのである。
何せアミレスは無茶無謀の常習犯だ。どんな事でもある程度『まぁアミレスならやりかねないな』と言う可能性が生まれてしまう、周りから見ればそんなレベルの常習犯となっていた。
そんな時だった。アミレスが火の最上位精霊を歩くストーブ呼ばわりして湯たんぽ代わりにと抱き着いていた事を知らないイリオーデとマクベスタは、当然のように嫉妬していたのだが……イリオーデはアミレスから褒められた事で一気に機嫌回復。
(流石はイリオーデ──。あぁ、王女殿下が! 私を褒めて下さった!!)
その脳内はただ純粋に、狂喜乱舞状態であった。だがこの直後事件が起きる。
「……そういう事だから、お願い、私に力を貸して?」
彼等を映すは大きくつぶらな瞳。可愛らしさを底上げする上目遣いとその表情。少しばかりいつもより高く愛らしい猫なで声でアミレスがおねだりした。
(かわっっっっ…………ぃい……!!)
(何それ可愛い過ぎねーか?!!!)
(──これが、メアリーの言っていた『尊み』か……はぁ、何と尊い……)
その瞬間、男達の脳内は見るも愉快な暴れようであった。普段から綺麗よりの美少女たるアミレスではあるが、ここまで女子を前面に押し出した表情など滅多にしない。
ふとした仕草や笑顔は当然のように世界トップクラスで可愛いと認識している彼等であったが、ここまであざといものは初めて見る。
故に、突然の事に脳がパンクしかけていた。あまりの可愛さにため息をついたり息が止まるぐらいには、彼等の内心もとても荒ぶっていたのである。
その後アルベルトがサラの関係者であると気づいたイリオーデによって、サラっと色々な話がなされる。そう、サラっと。
まぁそれでも中々にいい空気ではあった。サラ──エルハルトが九年前の事件の後怪我もなく元気であった事を知れたアルベルトは涙して喜んだ。
が、しかし。ここに来て空気が悪くなる。あの男が現れたのだ。
空気感クラッシャー、何処でもオタクワールド全開、顔のいい男は滋養に良いと語るチートオブチートの攻略対象、カイル・ディ・ハミルが。
遡る事十分程前。
アミレスがアルベルトより事情を聞いていた頃、マクベスタ、エンヴィー、イリオーデの三人がアミレスの水鉄砲《ウォーターガン》を認識して合流し、道中で検問に引っかかっていた。
それもその筈。やたらと見目のいい男三人(うち一人は他国の装束を着ている)がこんな夜中に急いで何処かに向かう様子であれば、流石の警備隊とて声を掛けるだろう。
それなのに騎士のような風体の赤髪の美丈夫は今にも剣を抜きそうな威圧感を放つし、もう一人の赤髪のイケメンは露骨に不機嫌なのが分かる上になんか凄い熱気を放ってくる。周りの雪が溶けるレベルで。
もうヤダー! と恐怖に震えつつも警備隊は何とか検問を行い、唯一礼儀正しかったマクベスタの『寒い中、お疲れ様です(でも今はやめて欲しかったな……)』と言う言葉に感動したとか。
「一体何があったんだろうか……もしや本当に不審者を見かけたとか?」
「姫さんなら既に戦うぐらいしてそーだけどな」
「……王女殿下なら有り得る」
そうやって、呼び出しの意味を考えながら三人は雪の上を爆走していた。やっとの思いでアミレスの元まで駆けつけた三人は、アミレスが殺人鬼を一人で相手取りやがて鎖でぐるぐる巻きにしたのだと勘違いした。
普通ならそんな勘違いしないが、アミレスだと普通にやりかねないので勘違いしてしまったのである。
何せアミレスは無茶無謀の常習犯だ。どんな事でもある程度『まぁアミレスならやりかねないな』と言う可能性が生まれてしまう、周りから見ればそんなレベルの常習犯となっていた。
そんな時だった。アミレスが火の最上位精霊を歩くストーブ呼ばわりして湯たんぽ代わりにと抱き着いていた事を知らないイリオーデとマクベスタは、当然のように嫉妬していたのだが……イリオーデはアミレスから褒められた事で一気に機嫌回復。
(流石はイリオーデ──。あぁ、王女殿下が! 私を褒めて下さった!!)
その脳内はただ純粋に、狂喜乱舞状態であった。だがこの直後事件が起きる。
「……そういう事だから、お願い、私に力を貸して?」
彼等を映すは大きくつぶらな瞳。可愛らしさを底上げする上目遣いとその表情。少しばかりいつもより高く愛らしい猫なで声でアミレスがおねだりした。
(かわっっっっ…………ぃい……!!)
(何それ可愛い過ぎねーか?!!!)
(──これが、メアリーの言っていた『尊み』か……はぁ、何と尊い……)
その瞬間、男達の脳内は見るも愉快な暴れようであった。普段から綺麗よりの美少女たるアミレスではあるが、ここまで女子を前面に押し出した表情など滅多にしない。
ふとした仕草や笑顔は当然のように世界トップクラスで可愛いと認識している彼等であったが、ここまであざといものは初めて見る。
故に、突然の事に脳がパンクしかけていた。あまりの可愛さにため息をついたり息が止まるぐらいには、彼等の内心もとても荒ぶっていたのである。
その後アルベルトがサラの関係者であると気づいたイリオーデによって、サラっと色々な話がなされる。そう、サラっと。
まぁそれでも中々にいい空気ではあった。サラ──エルハルトが九年前の事件の後怪我もなく元気であった事を知れたアルベルトは涙して喜んだ。
が、しかし。ここに来て空気が悪くなる。あの男が現れたのだ。
空気感クラッシャー、何処でもオタクワールド全開、顔のいい男は滋養に良いと語るチートオブチートの攻略対象、カイル・ディ・ハミルが。