だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
続いて忙しいケイリオルが向かったのは帝国騎士団と帝国兵団と帝都警備隊を束ねる総合的な部署、治安部。
こう言った貴族に対する家宅捜査の場合、司法部より発行された許可状を持つ帝国騎士団の騎士最低二十名とその地域担当の警備隊最低五名が家宅捜査を行う事。と、法で定められているのだ。
その為、ケイリオルはその最低二十五名の騎士と警備隊の編成をしようと治安部にまで足を運んだ。流石に無断でやる訳にもいかないので、きちんと治安部の部署長にも話を通すつもりである。
治安部の朝は早い。それ故か部署長にも話があっさりと通り、実働隊の編成もそれ程時間はかからなかった。
ケイリオルにも仕事があるので、それらを全て処理し終えてから夕方頃に家宅捜査を行う……と実働隊に編成された者達にケイリオルが告げると、その騎士達と警備隊の者達は思った。
──ケイリオル様、もしかして自分も家宅捜査に参加するつもりでは? 忙しいのに何故……いつも通り我々に任せて下さればいいのに……??
顔には出さなかったが、彼等彼女等は一様に同じ事を考えていた。そして、
「今回はかなり厄介な事件ですので、私も同行した方が良いかと思ったのですよ」
(──まぁ、私自ら罪人を捕まえたいだけですが)
まるで心を読んだかのようなケイリオルの発言に、彼等彼女等はビクリと肩を跳ねさせた。ケイリオルはいつも通り飄々と話しているが、その実、罪人を自ら屠りたくて仕方がないのだ。
そうやって実働隊の編成を済ませたケイリオルが次に向かったのは西宮のフリードルの元であった。時刻はもう七時をとっくに回っており、普段通りならばフリードルも朝食を済ませようかと言う時間帯だからだ。
恐らくタイミング的には今西宮に向かえば丁度王城に向かう途中の、皇帝代理として公務に励むフリードルとばったり出くわす事が可能だろう、とケイリオルは予想を立てた。
そして物の見事にフリードルと出くわす事が叶った。
「おはようございます、フリードル皇太子殿下」
「あぁ、おはようございます。ケイリオル卿」
ケイリオルが礼儀正しく挨拶をすると、フリードルも同じように挨拶を返した。
フリードルにとってケイリオルとは、様々な事を教えてくれた師であり、偉大なる皇帝に最も信頼を寄せられる希少な人。つまり、敬意をはらうに値する相手なのだ。
よって、フリードルは皇帝とケイリオルには礼儀を尽くすし敬語も使う。
「このような道すがらで大変恐縮なのですが、ご報告したい事がありまして」
「何か、あったのですか」
「実は例の連続殺人事件の犯人を捕らえ、法の裁きを受けさせる為に家宅捜査を行う必要があり、それにフリードル皇太子殿下のご許可をいただきたく──……」
怜悧な瞳で真っ直ぐにケイリオルを見上げ、フリードルはその報告に耳を傾けていた。作り物の氷像のような美しくも変わらない表情で、彼は皇帝代理としてその報告を聞き、自らの考えから結論を出した。
こう言った貴族に対する家宅捜査の場合、司法部より発行された許可状を持つ帝国騎士団の騎士最低二十名とその地域担当の警備隊最低五名が家宅捜査を行う事。と、法で定められているのだ。
その為、ケイリオルはその最低二十五名の騎士と警備隊の編成をしようと治安部にまで足を運んだ。流石に無断でやる訳にもいかないので、きちんと治安部の部署長にも話を通すつもりである。
治安部の朝は早い。それ故か部署長にも話があっさりと通り、実働隊の編成もそれ程時間はかからなかった。
ケイリオルにも仕事があるので、それらを全て処理し終えてから夕方頃に家宅捜査を行う……と実働隊に編成された者達にケイリオルが告げると、その騎士達と警備隊の者達は思った。
──ケイリオル様、もしかして自分も家宅捜査に参加するつもりでは? 忙しいのに何故……いつも通り我々に任せて下さればいいのに……??
顔には出さなかったが、彼等彼女等は一様に同じ事を考えていた。そして、
「今回はかなり厄介な事件ですので、私も同行した方が良いかと思ったのですよ」
(──まぁ、私自ら罪人を捕まえたいだけですが)
まるで心を読んだかのようなケイリオルの発言に、彼等彼女等はビクリと肩を跳ねさせた。ケイリオルはいつも通り飄々と話しているが、その実、罪人を自ら屠りたくて仕方がないのだ。
そうやって実働隊の編成を済ませたケイリオルが次に向かったのは西宮のフリードルの元であった。時刻はもう七時をとっくに回っており、普段通りならばフリードルも朝食を済ませようかと言う時間帯だからだ。
恐らくタイミング的には今西宮に向かえば丁度王城に向かう途中の、皇帝代理として公務に励むフリードルとばったり出くわす事が可能だろう、とケイリオルは予想を立てた。
そして物の見事にフリードルと出くわす事が叶った。
「おはようございます、フリードル皇太子殿下」
「あぁ、おはようございます。ケイリオル卿」
ケイリオルが礼儀正しく挨拶をすると、フリードルも同じように挨拶を返した。
フリードルにとってケイリオルとは、様々な事を教えてくれた師であり、偉大なる皇帝に最も信頼を寄せられる希少な人。つまり、敬意をはらうに値する相手なのだ。
よって、フリードルは皇帝とケイリオルには礼儀を尽くすし敬語も使う。
「このような道すがらで大変恐縮なのですが、ご報告したい事がありまして」
「何か、あったのですか」
「実は例の連続殺人事件の犯人を捕らえ、法の裁きを受けさせる為に家宅捜査を行う必要があり、それにフリードル皇太子殿下のご許可をいただきたく──……」
怜悧な瞳で真っ直ぐにケイリオルを見上げ、フリードルはその報告に耳を傾けていた。作り物の氷像のような美しくも変わらない表情で、彼は皇帝代理としてその報告を聞き、自らの考えから結論を出した。