だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
あっぶね〜〜〜!
いやぁ良かった、この事に対するお咎めは無いらしい。今更ながらとんでもない事だからねあれ。大商会の信用問題に関わる程の事だし、引き受けてくれたシャンパー商会には感謝しないとな……伯爵達に迷惑がかからないようで本当に良かった。今度お詫びに何かシャンパー商会で大きな買い物でもしよう。
そして、大人しく下がり法廷から出た私は「ウフフ」とわざとらしく笑いながらダッシュした。驚く司法部の方をその場に置き去りにして、持ち前の身体能力を駆使して階段を駆け上がり、傍聴席まで急いで戻る。
その後をしっかり着いて来て、眉間に深ーい皺を作ってはそれを押さえるハイラの顔が物凄く怖いけれど……仕方ないだろう。早く戻らないとちゃんと判決を聞けないのだから。
「では実行犯アルベルトに判決を下す」
その言葉に私は固唾を飲む。大丈夫だ、何も心配する事は無い。あのケイリオルさんとダルステンさんが言葉を違える筈が無いのだから。
「隷従の首輪の被害者ではあるものの、これまで重ねて来た数度の殺人及びその他罪状を鑑みて──終身奉仕に処する。これより、その身命の限り帝国に全てを捧げ、寿命が訪れた場合に限り帝国の為に死ぬ事を許可する」
裁判長の言葉にアルベルトが顔を上げた。だがそれも束の間、彼は震える声で、
「はい。我が、身命の限り……帝国の為に生きて死ぬ事を誓い……ます……っ」
涙を堪えながらそう誓った。赤く、潤む彼の瞳からは結局涙がこぼれ落ち、これからも生きていられる事に喜んでいるのだと……そう私は思った。
そして私は、胸の横で小さくガッツポーズを作った。だってこれは私の完全勝利だから。
ゲームでこの事件を解決したのはフリードルであり、解決されるのは今から三年近く後。それまでに何人もの被害者が増え、更には黒幕であるシルヴァスタ男爵が尻尾を切って逃げた為、全ての責任を負わされたアルベルトがフリードルの手で殺されたのだ。
だが私は、多くの協力を得てこの時点で黒幕を引きずり出す事に成功し、更には被害者でもあったアルベルトの死を無かった事に出来た。ついでにフリードルのルートの大事なイベントを潰す事も出来たのだ。
つまりこれ、大勝利案件では? フリードルよりも犠牲を遥かに少なくこの事件を解決せしめたのだから! 私の勝ちよフリードル!
悔しいでしょう? ふふっ、もっと早く真相に辿り着くべきだったわね!! まぁゲームでも真相に辿り着け無かった貴方では無理だったと思うけどーっ!