だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 ハイラが私には世界を変える力があるって言ってくれたから、少し自信がついてこうして挑戦してみようと思えたのだけど……まさか本当に言えるなんて。
 これはもしかしたら、本当にその内アミレスの望みを変える事も出来ちゃうかもしれない。
 憎もう! フリードルと皇帝を! 強化月間!! みたいなのをやったらこう、なんというか、一気にバビューンとアミレスの願いも塗り替えられないかしら。流石に無理か。
 まぁでも、今はこの小さな一歩で十分だ。少しずつ一歩ずつ前に踏み出そう。塵も積もれば山となる、フリードルと皇帝への憎悪とて積もればアミレスをも変えうる山となるでしょう!

「あ、ケイリオル卿!」

 暫く歩いていると見知った背中を発見した。お疲れ様です、と言いながら近寄るとケイリオルさんが、

「王女殿下もお疲れ様です。とても堂々とした威厳あるお姿でしたよ」

 とお辞儀をしながら証言の時の事を褒めてくれた。やっぱり褒められるのはいいね、単純に嬉しいや。

「ケイリオル卿、今アルベルトに会う事は可能ですか?」
「彼にですか。何か用事があるのですか?」
「はい、用事と言う程の事でも無いのですが……その……謝りたくて」
「謝りたい、ですか」

 私の発言に、ケイリオルさんが驚いたような声をあげた。私は一度頷いてから訳を話す。

「どうしてもっと早く、真相に辿り着けなかったのか……彼が何人も人を殺す前に、もっと早く私があの連続殺人事件の共通点に気づけていれば。そうしたら彼が心をすり減らしてまで何人も人を殺す事もなかったと考えると、どうしようもなく申し訳ない気持ちになって」

 私が、仕事が忙しいだとか特訓がしたいだとかであの事件に関心を抱かなかったから、真相に辿り着くのが遅れてしまった。
< 649 / 1,399 >

この作品をシェア

pagetop