だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
あの時師匠が間違えて刺されてなければ、私は恐らくいつまでもあの事件に関心を抱かなかった事だろう。そしてその場合、彼は騙され利用され捨てられて終いにはフリードルに殺される運命にあった。
たまたま師匠が刺されて、それに伯爵夫人やクラリスと言った知り合いが狙われるかもしれないと気づいたから、私は張り込み捜査をしてまで犯人を捕らえようとした。
だが実際にはその犯人は同時に被害者でもあり、犯人を顎で使った最低最悪の黒幕がいた。私はきっと、あの偶然が無ければその事実に永遠に気づけなかった事だろう。
だからこそ思うのだ。そんな偶然に頼らずとも私が最初からあの事件に関心を持っていれば、もっと早くアルベルトを救えたんじゃないかと。
それが出来るだけの知識や記憶が私にはあったのに。それなのに何もせず、何も気づかないまま『最近は世の中物騒ね』とかそんな程度に考えていた自分を殴りたい。
そしてアルベルトに謝りたい。七人も殺させてごめんなさいと。もっと早く止められなくてごめんねと。
「…………本当に、どこまでも貴女はフォーロイトらしくないですね」
ボソリと、ケイリオルさんの口からそんな言葉が聞こえた気がした。しかしそれを確認する間も無く、ケイリオルさんが「少しだけなら、恐らく時間を取れるでしょう」と私達をアルベルトの元へと案内し始めた。
現在シルヴァスタ男爵が牢へと移送されているらしく、その間アルベルトは法廷近くの一室で待機しているらしい。
その部屋に行くと二名の騎士が扉の前にいた。騎士二名は先程法廷にもいた人達で、私の姿を見て慌てて膝をついた。
「アミレス・ヘル・フォーロイト王女殿下に拝謁致します!」
「ほ、本日はたいへんお日柄もよく…アミレス・ヘル・フォーロイト王女殿下におかれましてはいかがお過ごしでしょうか!」
何か片方手紙の書き出しみたいな事言ってるわね。緊張しているのか声も少し上擦っている。
「お前……っ、王女殿下相手に何ふざけた事を!」
「だ、だって先輩……! 俺、皇族の方に挨拶するの初めてで……!!」
「謝れ、今すぐ謝るんだっ!!」
私に聞こえないようにと小声で騎士二人が会話しているのだが、全然聞こえる。後輩くんがちゃんとした挨拶をするのが初めてで緊張しちゃったのね、成程。それは仕方ないわ。
何だかハイラとケイリオルさんから『なんだこいつ等礼儀作法がなってねぇな』みたいな禍々しい威圧感を感じるけど、きっと気の所為だろう。こんな微笑ましい事で怒るなんて、そんなに心が狭い訳ないもん。
「ふふ、私《わたくし》はとても元気よ。そう言う騎士様も元気そうで何よりですわ」
先程フリードルとかいう男と話していた影響か、私の表情筋はとても自然に笑みを作った。しまった、普通に微笑ましいと思っていたのに癖で対人用作り笑いで返事をしてしまった。
これはまずい、不快感を与えてしまったかもしれないと騎士達を見ると。
「「…………」」
二人共、かなりぽかーんとしていた。まぁそれもそうか、だって私フォーロイトだし……あの皇帝の娘であのフリードルの妹だし……。
たまたま師匠が刺されて、それに伯爵夫人やクラリスと言った知り合いが狙われるかもしれないと気づいたから、私は張り込み捜査をしてまで犯人を捕らえようとした。
だが実際にはその犯人は同時に被害者でもあり、犯人を顎で使った最低最悪の黒幕がいた。私はきっと、あの偶然が無ければその事実に永遠に気づけなかった事だろう。
だからこそ思うのだ。そんな偶然に頼らずとも私が最初からあの事件に関心を持っていれば、もっと早くアルベルトを救えたんじゃないかと。
それが出来るだけの知識や記憶が私にはあったのに。それなのに何もせず、何も気づかないまま『最近は世の中物騒ね』とかそんな程度に考えていた自分を殴りたい。
そしてアルベルトに謝りたい。七人も殺させてごめんなさいと。もっと早く止められなくてごめんねと。
「…………本当に、どこまでも貴女はフォーロイトらしくないですね」
ボソリと、ケイリオルさんの口からそんな言葉が聞こえた気がした。しかしそれを確認する間も無く、ケイリオルさんが「少しだけなら、恐らく時間を取れるでしょう」と私達をアルベルトの元へと案内し始めた。
現在シルヴァスタ男爵が牢へと移送されているらしく、その間アルベルトは法廷近くの一室で待機しているらしい。
その部屋に行くと二名の騎士が扉の前にいた。騎士二名は先程法廷にもいた人達で、私の姿を見て慌てて膝をついた。
「アミレス・ヘル・フォーロイト王女殿下に拝謁致します!」
「ほ、本日はたいへんお日柄もよく…アミレス・ヘル・フォーロイト王女殿下におかれましてはいかがお過ごしでしょうか!」
何か片方手紙の書き出しみたいな事言ってるわね。緊張しているのか声も少し上擦っている。
「お前……っ、王女殿下相手に何ふざけた事を!」
「だ、だって先輩……! 俺、皇族の方に挨拶するの初めてで……!!」
「謝れ、今すぐ謝るんだっ!!」
私に聞こえないようにと小声で騎士二人が会話しているのだが、全然聞こえる。後輩くんがちゃんとした挨拶をするのが初めてで緊張しちゃったのね、成程。それは仕方ないわ。
何だかハイラとケイリオルさんから『なんだこいつ等礼儀作法がなってねぇな』みたいな禍々しい威圧感を感じるけど、きっと気の所為だろう。こんな微笑ましい事で怒るなんて、そんなに心が狭い訳ないもん。
「ふふ、私《わたくし》はとても元気よ。そう言う騎士様も元気そうで何よりですわ」
先程フリードルとかいう男と話していた影響か、私の表情筋はとても自然に笑みを作った。しまった、普通に微笑ましいと思っていたのに癖で対人用作り笑いで返事をしてしまった。
これはまずい、不快感を与えてしまったかもしれないと騎士達を見ると。
「「…………」」
二人共、かなりぽかーんとしていた。まぁそれもそうか、だって私フォーロイトだし……あの皇帝の娘であのフリードルの妹だし……。