だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
と 言う事で私は馬車が見えなくなってから東宮に戻った。そしてクラリスとイリオーデが荷物を纏めて待つ応接室へと向かう。その途中で、
「あ、兄様じゃないですか。こんな所までわざわざ何の御用ですか?」
「…………東宮の年間修理費用について疑問点があった。ここ数年程やけに出費が少ない。その理由を聞きに来ただけだ」
「まあ、そうでしたの。では帳簿や東宮の管理をしている者を呼んでまいります故、そこでお待ち下さいませ」
王城方面より一人でやって来たフリードルと遭遇した。その手には確かに書類がいくらかあり、彼の言う目的に嘘偽りは無いのだと分かる。
「この寒空の下、外で待てと?」
「はい、その通りですが。氷の魔力をお持ちの兄様であれば問題無いのでは?」
「そこまでして、僕を東宮に入らせたくないのか」
「当然でしょう。ここは私《わたくし》の領域です、兄様に踏み荒らされたくないと思うのが普通でしょう?」
だって東宮には、ケイリオルさんにだけとりあえず伝えておいた侍女見習い(という事になっている)のナトラがいるし、これまたケイリオルさんだけは把握している私の内弟子(という事になっている)のシュヴァルツもいるし、更に今はカイルの奴が我が物顔でニート生活を満喫してやがる。
どう考えてもフリードルにうろつかれるのは不味い。絶対にこれ以上東宮に近づく事を阻止しないと。
「…………どうしてだ」
「はい?」
ボソリとフリードルが何か呟く。
「どうして、お前はそこまで僕を毛嫌いするんだ」
……はい? 何言ってんだこいつ。
「昔は……鬱陶しいまでに僕の後ろをついて回っていただろう。何故、仇のような目で僕を見るようになった」
本当に意味が分からない。自覚が無いのか? 信じられない……ぶん殴っていいか?
チッ、と静かに舌打ちする。こんなにもイライラする事もそうそう無いだろう。落ち着け、落ち着くんだ私。落ち着いて対応する為に一度深呼吸をして、
「そんなのあんたが最低最悪のクズ野郎だからに決まってるでしょう」
落ち着いて答えよう。と、思ったんだけどなー。やっべーーーっ、苛立ちのあまりついつい本音がまろび出てしまった。
ぽかーんとするフリードル。そりゃそうよね、これまで一応は王女として取り繕ってはいたもの。それすらもやめたらもう、私には果たして何が残るのかしら。
「…………兄様。あんたが私《わたくし》に何したか覚えてます? 兄らしい事の一つでもやってくれましたか? あんたはいつも私《わたくし》の事を疎ましげに見下して、近づく事も名前を呼ぶ事も許してくれなかったでしょう? 病に伏せた妹の見舞いにも行かず、やる事は脅しに威圧に尋問。そんな冷血漢を、誰が好きでい続けられると思ってるんですか?」
ええいままよと勝手に溢れ出す言葉達。私が嘲るように笑うと、フリードルの顔が不快そうに歪んだ。何だ、ちゃんと表情があるじゃないの。無表情よりもずっといいわ、その顔。
「あ、兄様じゃないですか。こんな所までわざわざ何の御用ですか?」
「…………東宮の年間修理費用について疑問点があった。ここ数年程やけに出費が少ない。その理由を聞きに来ただけだ」
「まあ、そうでしたの。では帳簿や東宮の管理をしている者を呼んでまいります故、そこでお待ち下さいませ」
王城方面より一人でやって来たフリードルと遭遇した。その手には確かに書類がいくらかあり、彼の言う目的に嘘偽りは無いのだと分かる。
「この寒空の下、外で待てと?」
「はい、その通りですが。氷の魔力をお持ちの兄様であれば問題無いのでは?」
「そこまでして、僕を東宮に入らせたくないのか」
「当然でしょう。ここは私《わたくし》の領域です、兄様に踏み荒らされたくないと思うのが普通でしょう?」
だって東宮には、ケイリオルさんにだけとりあえず伝えておいた侍女見習い(という事になっている)のナトラがいるし、これまたケイリオルさんだけは把握している私の内弟子(という事になっている)のシュヴァルツもいるし、更に今はカイルの奴が我が物顔でニート生活を満喫してやがる。
どう考えてもフリードルにうろつかれるのは不味い。絶対にこれ以上東宮に近づく事を阻止しないと。
「…………どうしてだ」
「はい?」
ボソリとフリードルが何か呟く。
「どうして、お前はそこまで僕を毛嫌いするんだ」
……はい? 何言ってんだこいつ。
「昔は……鬱陶しいまでに僕の後ろをついて回っていただろう。何故、仇のような目で僕を見るようになった」
本当に意味が分からない。自覚が無いのか? 信じられない……ぶん殴っていいか?
チッ、と静かに舌打ちする。こんなにもイライラする事もそうそう無いだろう。落ち着け、落ち着くんだ私。落ち着いて対応する為に一度深呼吸をして、
「そんなのあんたが最低最悪のクズ野郎だからに決まってるでしょう」
落ち着いて答えよう。と、思ったんだけどなー。やっべーーーっ、苛立ちのあまりついつい本音がまろび出てしまった。
ぽかーんとするフリードル。そりゃそうよね、これまで一応は王女として取り繕ってはいたもの。それすらもやめたらもう、私には果たして何が残るのかしら。
「…………兄様。あんたが私《わたくし》に何したか覚えてます? 兄らしい事の一つでもやってくれましたか? あんたはいつも私《わたくし》の事を疎ましげに見下して、近づく事も名前を呼ぶ事も許してくれなかったでしょう? 病に伏せた妹の見舞いにも行かず、やる事は脅しに威圧に尋問。そんな冷血漢を、誰が好きでい続けられると思ってるんですか?」
ええいままよと勝手に溢れ出す言葉達。私が嘲るように笑うと、フリードルの顔が不快そうに歪んだ。何だ、ちゃんと表情があるじゃないの。無表情よりもずっといいわ、その顔。