だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
精霊の加護や魔力によって、人の身でありながらその魂が徐々に精霊のものに塗り替えられていき、やがて人としての輪郭が曖昧になって、人とそれ以外との境界線を越えて精霊となる…………。人間界ではこの事を精霊病と言っているそうな。
その為、勿論アミィもボクの加護の影響で精霊化が進む筈だったんだけど、それをボクが全力で遅らせたから、今はまだ二割程しか精霊化も進んでいない。人間は七割精霊化してしまえばもう後戻り出来なくなるので、まだしばらくは余裕がある。
ちなむと、これは魔族の加護にも妖精の加護にも共通して言える事だ。どれも過ぎた力を人間に与えるとその本質すら塗り替えてしまうのだ。
もしアミィが精霊になったらば、そりゃあ勿論ボクが責任もって面倒見るよ。というか元よりそのつもりだったし。
きっと好奇心旺盛なアミィは精霊界を気に入るだろう。今まで精霊界なんて統治が面倒臭いだけのだだっ広い世界と思っていたけれど、アミィがいると考えるだけで一気にマシに思えてくるよ。
アミィがちゃんと寿命を全うするまではボクがボクの存在にかけて完全な精霊化は阻止するつもりだけど、その後は……ずっと、ずうっと……アミィと一緒にいたいなあ。死ぬ事なんて許さない。
もし生まれ変わったのだとしても絶対に捜し出してみせる。ボクから離れられるなんて思わないで欲しいな。ボクにこんなにも欲や感情や思い出を与えた責任をとって貰わないと。
もうボクはアミィ無しの日々なんて考えられない。それぐらい、ボクはアミィの事が大切なんだ。
「加護属性《ギフト》は星だろうし……なんて名前なんすか、その加護。先代からは特に聞いてないんで気になるんすけど」
ため息混じりに散らばった書類を拾い集めながら、エンヴィーが聞いてくる。まあ今まで一度も使った事の無い加護だからな、あれは。ボクも存在しか知らなかったものだし。
ティーカップの水面に映る無駄に煌びやかな己の瞳を見つめながら、ボクはその加護の名を口にした。
「星王の加護──……我等が一番星《エストレラ》にはぴったりの加護だろ?」
無限の星空を内包するこの世界で。やがて星となる我等が精霊達でさえもあまりの眩さに目を細め手を伸ばしてしまう、あの人間の少女。
限りの無い夜空の中で最も美しく燦然と輝く君は、ボクの世界を導く一番星だ。
まるでそんな君の為にあるかのような、この加護。星王の加護はきっと、最初からアミィの為にあったんだ。
「ふはっ、そりゃ確かに姫さんにぴったりの名前だ。何かと星を冠するアンタの加護なんですから、それ系統とは思ってましたけど」
エンヴィーが気の抜けた笑みで弾む息を吐いた。
冷めつつある紅茶を飲み干そうとカップを傾けて、ボクは喉を潤してからエンヴィーの言葉に続く。
その為、勿論アミィもボクの加護の影響で精霊化が進む筈だったんだけど、それをボクが全力で遅らせたから、今はまだ二割程しか精霊化も進んでいない。人間は七割精霊化してしまえばもう後戻り出来なくなるので、まだしばらくは余裕がある。
ちなむと、これは魔族の加護にも妖精の加護にも共通して言える事だ。どれも過ぎた力を人間に与えるとその本質すら塗り替えてしまうのだ。
もしアミィが精霊になったらば、そりゃあ勿論ボクが責任もって面倒見るよ。というか元よりそのつもりだったし。
きっと好奇心旺盛なアミィは精霊界を気に入るだろう。今まで精霊界なんて統治が面倒臭いだけのだだっ広い世界と思っていたけれど、アミィがいると考えるだけで一気にマシに思えてくるよ。
アミィがちゃんと寿命を全うするまではボクがボクの存在にかけて完全な精霊化は阻止するつもりだけど、その後は……ずっと、ずうっと……アミィと一緒にいたいなあ。死ぬ事なんて許さない。
もし生まれ変わったのだとしても絶対に捜し出してみせる。ボクから離れられるなんて思わないで欲しいな。ボクにこんなにも欲や感情や思い出を与えた責任をとって貰わないと。
もうボクはアミィ無しの日々なんて考えられない。それぐらい、ボクはアミィの事が大切なんだ。
「加護属性《ギフト》は星だろうし……なんて名前なんすか、その加護。先代からは特に聞いてないんで気になるんすけど」
ため息混じりに散らばった書類を拾い集めながら、エンヴィーが聞いてくる。まあ今まで一度も使った事の無い加護だからな、あれは。ボクも存在しか知らなかったものだし。
ティーカップの水面に映る無駄に煌びやかな己の瞳を見つめながら、ボクはその加護の名を口にした。
「星王の加護──……我等が一番星《エストレラ》にはぴったりの加護だろ?」
無限の星空を内包するこの世界で。やがて星となる我等が精霊達でさえもあまりの眩さに目を細め手を伸ばしてしまう、あの人間の少女。
限りの無い夜空の中で最も美しく燦然と輝く君は、ボクの世界を導く一番星だ。
まるでそんな君の為にあるかのような、この加護。星王の加護はきっと、最初からアミィの為にあったんだ。
「ふはっ、そりゃ確かに姫さんにぴったりの名前だ。何かと星を冠するアンタの加護なんですから、それ系統とは思ってましたけど」
エンヴィーが気の抜けた笑みで弾む息を吐いた。
冷めつつある紅茶を飲み干そうとカップを傾けて、ボクは喉を潤してからエンヴィーの言葉に続く。