だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「あとねあとねー、全三十九体の最上位精霊から制約の破棄に賛成するって署名貰えたよ! 何気に忙しいルメちゃんから頼まれて僕が代わりにやったんだー!」
署名をボクの机に置いてから、ケイは笑顔で兎のように飛び跳ねる。本当に毎日楽しそうだなこいつ。
しかし、そうか……最初からケイに任せておけばもっと早く署名も集まったのか。署名集めを任せたハノルメも、元々まあまあ忙しいからな……あいつは救いようの無い変態だし鬱陶しいけど、仕事は出来るし根は真面目だからつい仕事を押し付けてしまう。
これからはもっと暇そうな奴に仕事を押し付けようか。いくら有能でもいくつもの仕事を掛け持ちしていては手が回らないだろうからね。
「うーん…………鉄は熱いうちに打てと言うし、とりあえず今からやるか。上座会議」
「え"っ」
ようやく全最上位精霊が制約の破棄に同意したのだから、とりあえず一回会議した方がいいかなと思ったのだ。
するとどうだろう、エンヴィーが物凄いしかめっ面で濁った驚きの声を上げた。
「どうした嫌なのかエンヴィー」
「い、いやぁ……まだ仕事残ってんのに会議なんてして大丈夫なのかな〜〜と」
「仕事は後でやるから大丈夫だ」
「……ッスー、居残り確定っすねこれ……」
全てを悟った顔で遠い目となるエンヴィー。一旦あれは置いておいて、ボクはケイとフィンに「プチ上座会議やるから、準備しておいて」と命令する。
二体共それに「りょ!」「畏まりました」と敬礼や胸元に手を当てたお辞儀で応える。ケイとフィンが上座会議専用の場──星見の間と言う場所の準備に向かった所で、ボクはまた別の精霊を呼び出した。
部屋にある鏡に向けて、「来い、ミラアズ」と告げる。すると程なくしてその鏡に水面の如き揺らぎが生じて、
「──お呼びかナ、我が王」
鏡の中からトゲトゲの濃い銀髪を持つ硝子の瞳の男が出て来た。これは鏡の最上位精霊のミラアズ。こう言う時にとても便利な権能を持つ男である。
「鏡を貸せ、今から告知する事がある」
「はいどうゾ。内容はまさカ?」
「そのまさかだよ」
鏡から上半身だけを出しているミラアズより、一つの手鏡を受け取った。ボクはその鏡面に向けて宣言した。
「全属性の最上位精霊達に告ぐ。これより上座会議を執り行う事を──……精霊王《・・・》の名において宣言する」
ミラアズの鏡は彼の権能の影響もあり、精霊界にある全ての鏡に声や姿を届ける事が出来る。これにより精霊界中にボクの言葉が届き、無事に最上位精霊達は上座会議の為に星見の間を目指す事だろう。
「お前も遅れないようにしなよ」
「勿論だとモ。でハ、オレは先に行きますネ」
手鏡を受け取ると、とぷん、と水に石が落ちたように鏡の中に潜り込むミラアズ。ほんの数秒も経てば鏡は元通りとなっている。
ボクは机の上に置かれたケイとフィンの持って来た書類を手に、「ボク達も行くよ」とエンヴィーを引き連れて星見の間へと向かう。
…………待っててね、アミィ。出来る限り早く制約を破棄して、君に会いに行くから。君を守る為に、幸せにする為に……少しでも君が長生き出来るように、いつか必ず、君の元に行くから。
そして、ボクはついに制約の破棄に向けた大きな第一歩を踏み出す事となる。
署名をボクの机に置いてから、ケイは笑顔で兎のように飛び跳ねる。本当に毎日楽しそうだなこいつ。
しかし、そうか……最初からケイに任せておけばもっと早く署名も集まったのか。署名集めを任せたハノルメも、元々まあまあ忙しいからな……あいつは救いようの無い変態だし鬱陶しいけど、仕事は出来るし根は真面目だからつい仕事を押し付けてしまう。
これからはもっと暇そうな奴に仕事を押し付けようか。いくら有能でもいくつもの仕事を掛け持ちしていては手が回らないだろうからね。
「うーん…………鉄は熱いうちに打てと言うし、とりあえず今からやるか。上座会議」
「え"っ」
ようやく全最上位精霊が制約の破棄に同意したのだから、とりあえず一回会議した方がいいかなと思ったのだ。
するとどうだろう、エンヴィーが物凄いしかめっ面で濁った驚きの声を上げた。
「どうした嫌なのかエンヴィー」
「い、いやぁ……まだ仕事残ってんのに会議なんてして大丈夫なのかな〜〜と」
「仕事は後でやるから大丈夫だ」
「……ッスー、居残り確定っすねこれ……」
全てを悟った顔で遠い目となるエンヴィー。一旦あれは置いておいて、ボクはケイとフィンに「プチ上座会議やるから、準備しておいて」と命令する。
二体共それに「りょ!」「畏まりました」と敬礼や胸元に手を当てたお辞儀で応える。ケイとフィンが上座会議専用の場──星見の間と言う場所の準備に向かった所で、ボクはまた別の精霊を呼び出した。
部屋にある鏡に向けて、「来い、ミラアズ」と告げる。すると程なくしてその鏡に水面の如き揺らぎが生じて、
「──お呼びかナ、我が王」
鏡の中からトゲトゲの濃い銀髪を持つ硝子の瞳の男が出て来た。これは鏡の最上位精霊のミラアズ。こう言う時にとても便利な権能を持つ男である。
「鏡を貸せ、今から告知する事がある」
「はいどうゾ。内容はまさカ?」
「そのまさかだよ」
鏡から上半身だけを出しているミラアズより、一つの手鏡を受け取った。ボクはその鏡面に向けて宣言した。
「全属性の最上位精霊達に告ぐ。これより上座会議を執り行う事を──……精霊王《・・・》の名において宣言する」
ミラアズの鏡は彼の権能の影響もあり、精霊界にある全ての鏡に声や姿を届ける事が出来る。これにより精霊界中にボクの言葉が届き、無事に最上位精霊達は上座会議の為に星見の間を目指す事だろう。
「お前も遅れないようにしなよ」
「勿論だとモ。でハ、オレは先に行きますネ」
手鏡を受け取ると、とぷん、と水に石が落ちたように鏡の中に潜り込むミラアズ。ほんの数秒も経てば鏡は元通りとなっている。
ボクは机の上に置かれたケイとフィンの持って来た書類を手に、「ボク達も行くよ」とエンヴィーを引き連れて星見の間へと向かう。
…………待っててね、アミィ。出来る限り早く制約を破棄して、君に会いに行くから。君を守る為に、幸せにする為に……少しでも君が長生き出来るように、いつか必ず、君の元に行くから。
そして、ボクはついに制約の破棄に向けた大きな第一歩を踏み出す事となる。