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 その役目というのはララルス邸とランディグランジュ邸の監視。そしてララルス邸に関しては誰も外に出られぬよう──……逃げられぬようにするよう言いつけたのです。戦闘能力にも隠密能力にも長けた彼等ならば、それしきの事、余裕ですから。
 帝国の剣たるランディングランジュ家は治安部にて帝国騎士団の団長を務める為、四大侯爵家の中で唯一私的な騎士団を持たない家門。

 その為、ランディングランジュ邸には簡単な警備兵しかいない。だが他ならぬランディングランジュ侯爵家……その警備兵一人一人が帝国騎士団で中隊長を務められるぐらい強く、言うなれば量より質重視の姿勢を取っている模様。なので少数精鋭の第一班がランディングランジュ邸担当となりました。

 まあ、ランディグランジュ邸の監視は本当にただの監視なので……もし万が一、監視の任についた者がランディグランジュの人間に見つかり戦闘になった場合に備え、少数精鋭の第一班を向かわせる事にしたのです。

 ララルス侯爵家は金に糸目を付けず形ばかりの騎士団を持っている。ララルス侯爵家の権威と金を使って帝国兵団や帝国騎士団の人間を引き抜いたりして、一人一人の力は弱いものの数が多く、分かりやすい質より量重視の姿勢。なので人数が多い第二班がララルス邸担当となりました。

 こちらは"ララルスの人間"が外出しようとした際に全力で足止めが出来るよう、人海戦術でゆく事に。
 勿論第二班の者達もとても強いですよ。ただ、第一班の面々がそれぞれ帝国騎士団にて余裕で武勲をあげられるであろう程に強いだけで。

 そうやって仕事を割り振った後、私が向かったのは大通りにある喫茶店。開店前でありながらその店の扉は開いており、中では藍色の髪の男性が足を組み新聞を読んでいました。
 彼は私が入店した事に気づいてすぐに新聞を畳み、立ち上がっては一礼してきた。

「おはようございます、ララルス嬢。普段と少し雰囲気が変わっていて新鮮ですね」
「おはようございます、シャンパージュ伯爵。一応、これでもララルス家の人間ですので」

 私も貴族らしいお辞儀を返し、シャンパージュ伯爵の軽いエスコートで私は席に座った。あのシャンパージュ伯爵家現当主にこのような事をさせてしまうとは……と少し気まずかったのですが、彼が「私の方が爵位が低いのですから当然の事ですよ」と言うものだから、私は本当に何も言い出せませんでした。

 まず最初に私は今まで通りに話して欲しいと頼みました。爵位とか関係なく、この計画の仲間として話して下さいと。この場にララルスの人間として来ている私にこう頼む権利があるのかは分かりませんが、とにかく頼むしかなかったのです。

 シャンパージュ伯爵に尊重される程、私は出来た存在ではないので……分不相応と言うか、とにかくあのシャンパージュ伯爵家現当主に敬語を使わせ気を使わせている現状が非常に耐え難いものだったのですよ。
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